健康を促進する対策として、筋肉の評価が高まっています。筋肉が分泌するホルモンの中には、認知症やガンを予防することに効果が認められています。今までは、経験則的に認知症を防ぐために、あるいは発症を遅らせるためには、運動が良いと言われてきました。これが、実証されつつあるのです。マイオカインには、認知症以外の病気を抑え込む効果もあることが明らかになってきています。イリシンというマイオカインは、筋肉から分泌された後、血流に乗って脳に到達します。イリシンが脳に到達すると、脳の中でBDNFという物質が多く分泌されます。BDNFは、Brain Derived Neurotrophic Factor(脳由来の神経栄養因子)のことになります。このBDNFという物質が多く分泌されると、情報伝達に役立つ神経細胞が作られるのです。結果として、この物質が多く分泌されると、脳の機能が高まることが分かってきました。逆に、筋肉が萎縮すると脳の機能が低下することも分かってきました。萎縮した筋肉は、”マイオカインのうち、脳にプラスに働くホルモンが分泌されにくくなるのです。さらに、萎縮した筋肉は、認知機能が低下する方向に働きかけるホルモンを分泌するようになります。萎縮した筋肉は、認知機能が低下する方向に働きかけるホルモン(へモペキシン) を分泌するようになります。このヘモペキシンは海馬に働きかけ、認知症の発症を促進する働きさえするようになるようです。
それでは、健康促進を促す筋肉を増やすためには、どうすれば良いのでしょうか。それは、運動によって体を動かすことになります。運動して筋肉を使うと、筋肉の組織に傷がつき、血液が出ます。筋肉は、「傷つく」ことによって増える性質があるのです。筋肉が「傷つく」ことによって増える仕組みは、超回復と呼ばれています。この超回復には、ある程度は筋肉痛を感じるくらいの運動が効果的になります。傷がつき、血液が出ることがスイッチになって、筋肉の肥大が起こります。出血というダメージを受けた筋肉では、筋肉を増やす元とになる幹細胞が活性化して増殖します。幹細胞が活性化して増殖し、筋線維にくっつくことで、筋線維が太くなり、新しい太い筋線維が作られる仕組みになっています。ある程度の筋繊維を増やす筋力運動は、低強度のものでも有用であると考えられていいます。この筋力トレーニング(筋力トレ)は、週3日で十分です。ある意味、7日のうち4日休んでよいと思えば気が楽になる運動かもしれません。筋肉トレによる骨格筋の増加そのものが、生活習慣病の予防や改善に効果があるというわけです。筋肉が増えれば、代謝が増え、脂肪の燃焼効率を高めます。肥満を防ぎ、生活習慣病を予防することになります。
筋肉を増やし健康を維持向上させるためには、「心」「食」「動」「眠」の4つの要素が重要なポイントになります。食べたものは、胃腸で消化・吸収され、食べ物に含まれる栄養素が代謝されていきます。食べたものはエネルギーに変えられたり、細胞や血液,ホルモンの材料になったりします人間の体は、栄養素や体脂肪を熱に変え、呼吸や体温の維持という基本的な生命維持活動を行なっています。栄養素の吸収→エネルギーの産生→消費→また栄養素の吸収のサイクルを繰り返していくことで、健康が保たれているわけです。栄養の吸収サイクルのときに、必要な栄養素が足りないと、代謝を促すことができなくなります。代謝できないと、エネルギー循環が滞り、体の機能が正常に働かなくなってしまいます。たとえば、人間が必要とするアミノ酸は、2つに分類されます。必須アミノ酸は、体内で合成されないため食物から補給しなければなりません。その内容は、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリブトフアン、バリン、ヒスチジンの10種類です。非必須アミノ酸は、体内で合成できますが、不足する場合は不具合をもたらします。それは、チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルクミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニンになります。20種類のアミノ酸は、1つでも欠けるとバランスが取れず、たんぱく質を合成できないわけです。バランスよく、栄養素を取ることが求められるわけです。
消費者の求める食材が変化してきています。そして、消費者の求める食材に対して、それに応じようと企業は努力をしています。現在の健康観は、一定の筋肉が機能的に働くことを前提にしています。健康志向の商品の中でも、特にタンパク質に注目が集まっています。そんな中で、面白い商品が開発されました。豆腐を作るときにできる「生のおから」は、栄養価が高いことが知られていました。欠点は、腐敗の早いことだったのです。キッコーマンでは、この生おからを乾燥させるノウハウを確立して、パウダー状に仕上げることに成功しました。このおからは賞味期限が約1年間と、筋肉愛好家には重宝な食材になります。ご飯にかけて食べれば、いつでもたんぱく質の供給が可能になったわけです。このような工夫も、楽しい体つくりになるかもしれません。また、日本古来の料理にも注目が集まっています。例えば大豆には、メチオニンというアミノ酸が不足ぎみになります。これを補う食材が、日本料理にはバランスよく配列されているのです。動物由来の鰹節などには、メチオニンが豊富に含まれています。私たちが知らずに鉱物として食べている「湯豆腐に鰹節をかける」という食べ方は、栄養バランスのとれた食べ方になっていたわけです。
シニアの世代になると、歩けるだけで良質な生活ができていると、妥協することも多くなるようです。生活の質を、自力で歩けるトイレに行けるなど最低限の日常生活レベルをイメージするようになるわけです。このレベルを続けていくと、社会的孤立が進んでいきます。シニアに限らず、社会的孤立は、今や国のプロジェクトとして進めるべき課題となっています。孤立が続けば、加齢を加速化し、うつや認知症へ導くことを速めます。逆に、人々とコミュニケーションの場を設ければ、加齢も認知症への流れを緩めることができます。日常生活で誰かと会うために外出する機会があれば、少しでも体を動かすことができます。高齢者が孤立すれば、筋肉がますます落ちていくことになります。外に出て、人々との接触が増えれば、エネルギーが多く使われ、生活習慣病などの発症のリスク低下にもつながっていきます。運動は足腰に筋肉をつけ、万病を予防するだけではなく、孤立を防ぐ上でも重要な要素になります。一つの運動の中に、「体を動かす」、「頭を使う」「人とふれあう」の3つの要素が含まれている場合と、理想的な活動になります。
余談ですが、笑いのコンテンツが、シニアの不可欠なものになってきたようです。以前から、「病は気から」という気持ちの持ちようが言われてきました。その病気との関係では、ネガティブな感情が重要視されていました。ネガティブ感情を持つと、「ストレスが増しますよ」とか「病気の進行が早くなりますよ」という具合です。気持ちの持ちようと病気との関係では、不安や怒りなどの感情が重要視されてきたわけです。でも、最近は違う流れが出てきました。強さやしなやかさ、幸福感、感謝といったポジテイプな感情が注目されるようになってきたのです。ポジティブな感情を強めることで、病気の予防や健康増進の手法が注目されているのです。ポジティブの代表には、笑いがあります。たとえば、笑うと自律神経へ影響を与えます。この影響で、活動時に高まる交感神経が活性化します。そして、笑った後はリラックス時に優位になる副交感神経に切り替わることが分かっています。交感神経がいつまでも活性化していることは、心身に悪い影響を与えます。同じように、副交感神経がいつまでも働いていることも、心身に悪い影響を与えます。適度に、交互に働くことが望ましいわけです。笑いは、この切り替えを行う有意義なツールになるわけです。
最後になりますが、孤立が続けば、加齢を加速化し、うつや認知症へ導くことを速めます。逆に、人々とコミュニケーションの場を設ければ、加齢も認知症への流れを緩めることができます。日常生活で誰かと会うために外出する機会があれば、少しでも体を動かすことができます高齢者が孤立すれば、筋肉がますます落ちていくことになります。外に出て、人々との接触が増えれば、エネルギーが多く使われ、生活習慣病などの発症のリスク低下にもつながっていきます。運動は足腰に筋肉をつけ、万病を予防するだけではなく、孤立を防ぐ上でも重要な要素になります。ある地域に、卓球グループあります。卓球仲間が、週に決まった日に練習をします。ここでは、ゲームで対戦するライバルに勝つために練習をします。練習は工夫を加え、ラリーにおいて優位になる作戦を練ります。ゲームや練習は、頭を使い、人と人のふれあいの場になります。練習に出るために、日頃の生活は節制をするようになります。このような仲間と練習場所、そして各自に合った活動が、理想的な運動(筋トレ)になるかもしれません。このような場を多数用意できる自治体は、医療費や介護費の支出が少なくてすむようになります。元気なシニアが増えて、社会活動などにそのエネルギーが向けられれば、理想的な市町村が実現するかもしれません。