情報化社会になり、人は休むことなく情報と格闘することが多くなりました。動物は高度になれば、脳の機能も高度化します。この高度な脳は、体温が限度を超えて高温になると、脳の機能は著しく低下するのです。もちろん、人は進化の過程で脳の機能が高くなると、それを冷やす仕組みを作ってきました。この脳の進化を加速した動物は、哺乳類と恐竜になります。特に、鳥型恐竜は進化したために、脳の発熱が多くなりました。そのために、トサカに脳を冷やす役割を求めたのです。人間の場合、入眠の前に手足の指先が温かくなることが知られています。手足の指先が温かくなるのは、末梢から熱を逃がすために毛細血管が拡張しているからです。この血管が拡張しているときに、脳の温度が下がり、眠りに入り、脳を休めるわけです。高等動物の脳は、常に熱を持った状態で活動するようになりました。その原因は、現代社会の忙しさ、複雑さ、高速化にあるようです。今回は、睡眠の特性から、現代社会の課題解決に迫ってみました。
脳の常態には、覚醒(活動状態)、ノンレム睡眠、レム睡眠という3つの状態があります。人が活動する時間は、16時間ほどあります。一方で、1日の3分の1の8時間を眠って過ごします。一生の33%を、眠って過ごしているわけです。この8時間の眠りのうち、6時間がノンレム睡眠、2時間がレム睡眠といわれています。首をしっかりとさせて、行儀よく眠っているときがノンレム睡眠です。だらりと横になって眠ったり、まぶたの裏で眼球が動いているのがレム睡眠といわれているものです。深いノンレム睡眠の確保が、健康を保証するといわれています。健康な人は、ノンレム睡眠のときには脳の活動レベルが低下します。これには、理由があります。覚醒時における脳の活動は、非常に活発です。睡眠の時間まで活発にすると、脳の機能が損傷するためです。ノンレム睡眠は大脳を鎮静化し、大脳の機能を回復させるための休養の時間なのです。それでは、レム睡眠はどうなのでしょうか。私たちの祖先は、恐竜や肉食猛獣から狙われる立場にありました。恐竜などから身を守る方法を進化させなければ、人類は絶えてしまったことでしょう。恐竜に襲われるときには、すぐに逃げる行動様式ができました。それが、レム睡眠の状態だったという説もあるようです。人間には、生きるための行動と生命の防衛行動を行うDNAが延々と機能しています。人間にとって深く寝られないことも、生きるための大切な能力だったというわけです。
進化した人間は、日の出とともに活動的になり、日の入りとともに活動を低下させていくように作られています。セロトニンとメラトニンの循環が、良質な活動と睡眠を作り出しています。朝の太陽光で、網膜が自然光を感知すると、セロトニンという脳内神経伝達物質が分泌されます。セロトニンは、覚醒のホルモンで、朝分泌され、脳の働きが良くします。このセロトニンは、脳神経回路に信号を行きわたりやすくして、脳に覚醒をもたらすのです。夜はセロトニンの分泌が減り、セロトニンからメラトニンがつくられます。メラトニンは、良質な睡眠をもたらします。睡眠とは、身体が休むときに脳の活動をしっかり低下させるシステムです。良い睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に90分の周期で起こるといわれています。深いノンレム睡眠中は、子どもの成長や身体の傷の修復に関係する成長ホルモンが分泌されます。正常な成長発達に、必要なホルモンです。細菌やウイルスが身体に侵入すると防御機構が働き、ノンレム睡眠を誘発し免疫物質を作ります。眠りが免疫物質を作り、身体を防御するわけです。
現代社会の高度化による情報過多の現代では、記憶が過大になり、脳の疲労が恒常化する状況が続いています。もちろん、知恵ある人々は、対策を考えています。情報氾濫に悩む人たちは、いろいろな忘却法を工夫しています。体を動かす、汗を流す、おもしろい遊びに夢中になるなどいろいろな忘却の方法があります。仕事のできる人は、遊びが上手などの誉め言葉もあるようです。このような人々を見て、忘却力の方が記憶力より重要であることも、少しずつ理解されてきたようです。忘却が旧態依然としていれば、頭がゴミの倉庫のようになるおそれも出てきています。新しい課題には、すっきりした頭脳で、新しい解決策を見出していくわけです。忘れることの重要性を、示唆するのがレム睡眠になります。ここに来て、恐竜から逃げるためのレム睡眠から、次元の違うレム睡眠の理解が出てきました。レム睡眠は、頭の中の不要をモノ、知識、刺激などを処分、つまり、忘れることを促す働きをしているのです。人は、眠っている時に、レム睡眠を行い、頭の中の不要なモノなどを処分しています。レム睡眠は、頭の掃除のようなもので、一度だけでなく、一晩に何度もおこっています。朝、目をさまして、頭がすっきりしていれば、レム睡眠のおかげという評価を得るまでになりました。
仕事や学習のパフオーマンスを高めるには、良質な睡眠が重要な要素になります。睡眠を考える場合、セロトニンが重要な要素になります。運動量が増えると、セロトニンの分泌が促されます。セロトニンは、夜になると睡眠を促すメラトニンになります。運動がセロトニンの分泌を促し、その結果として良い睡眠をもたらす仕組みがあります。人間は日の出とともに活動的になり、日の入りとともに活動を低下させていくように作られています。セロトニンとメラトニンの循環が、良質な活動と睡眠を作り出しています。セロトニンは、覚醒のホルモンで、朝分泌され、脳の働きが良くなります。夜はセロトニンの分泌が減り、セロトニンからメラトニンがつくられます。メラトニンは、良質な睡眠をもたらすわけです。このことを理解した上で、早起きにシフトにすれば、この良質な循環を獲得できるということになります。その上で、8時間の眠りのうち、6時間がノンレム睡眠、2時間がレム睡眠の意味を考えることです。健康な人は、ノンレム睡眠のときには脳の活動レベルが低下します。これには、理由があります。覚醒時における脳の活動は、非常に活発です。その上、睡眠の時間まで活発にすると、脳の機能が損傷するためです。ノンレム睡眠は大脳を鎮静化し、大脳の機能を回復させるための休養の時間なのです。ある意味、身体を守る働きをしているとも言えます。レム睡眠の2時間は、過剰な知識や刺激などを処分する働きをしています。感情的な問題を、後に残さない働きをしているわけです。
余談ですが、楽しいことや「怖い」などの体験は記憶に残ることの詳細な仕組みは、いまだにわからないところが多くあります。楽しいや「怖い」などの記憶は、忘れないような脳の機能があります。生存や種の保存に関わるものは、忘れないように選択的に記憶を強化する仕組みが脳に備わっています。楽しいや「怖い」など体験は、動物が生存や繁栄をする上で有利な情報を含むことが多いのです。扁桃体は、選択的に記憶を強化する機能も司っています。扁桃体はポジティブな感情のほか、恐怖や不安といったネガテ心ブな感情にも関わっています。楽しいや「怖い」」などの体験は記憶に残り、長い時間が経過しても思い出すこができます。ある研究チームは、つらい体験にも同様の仕組みが働いているとみています。楽しい活動の記憶が、睡眠時に扁桃体の活動を人為的に抑えると無くなりました。この実験から、ネガティブな探索活動を抑制することも可能になるかもしれないとの希望が出てきました。嫌な思い出を減らすことができれば、もしくはなくすことができれば、幸せホルモンを多く分泌する仕組みを作ることができるわけです。研究チームは、睡眠中に扁桃体や関連領域の活動を抑えることで嫌な記憶を消去できるかどうかを検証しています。
最後になりますが、楽しいことや「怖い」などの体験は記憶に残ることの詳細な仕組みはまだ分かっていないようです。地震や原発の災害が起こるようになり、個々人が受けるフラッシュバックの治療に注目が集まるようになりました。この「フラッシュバック」は、急性ストレス障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状として現れるものです。適切な治療を受けないまま放置すると、繰り返し何度も現れる厄介ものです。これには、死の恐怖を感じるほどのトラウマ体験がよみがえることもあります。フラッシュバックは何十年にもわたって、その記憶に就寝中も苦しめられるともいわれています。この治療には、組み合わせが有意に改善につながるという報告もあります。それには①薬物療法、②認知行動療法、③神経生物学的アプローチがあります。特に、③神経生物学的アプローチでは近年、偏桃体にアプローチする方法が注目を集めていいます。偏桃体はポジティブな感情のほか、恐怖や不安といったネガティブな感情にも関わっています。楽しい活動の記憶が、睡眠時に扇桃体の活動を人為的に抑えると無くなることが分かりました。研究チームは、つらい体験にも同様の仕組みが働いていると考えています。フラッシュバックを解明する手法として、実験動物に喜びを与えるという逆転の発想でこの課題に立ち向かう研究チームの活躍を期待しています。