中古品は新しいビジネスチャンスを生み出す アイデア広場 その1704

 世界の中古市場で、面白いことが起きています。米国のベイン・アンド・カンパニーは、経営戦略コンサルティングのサービスを行っています。この有名な企業が、2024年の中古市場が約8.7兆円 だったと試算していました。世界の中古市場は、2017年比の成長率では、同じ高級品でも新品市場が42% 増に対し、中古は2.4倍と大幅に増大七得るのです。その中でも、「Used io Japan」と呼ばれる日本の中古品が海外の消費者の関心を集めています。偽物がほとんどないうえに、中古ながら傷などが少なく、新品に近い品質を保っているとの評価です。日本の中古市場では、保管状態や細やかな手入れを重視しています。さらに、高い美意識や完璧主義などが、再販時における非常に高い評価につながっているのです。この評価は、越境EC (電子商取引) トの取引状況をみると、評価が明白になります。米イーベイは、世界最大の中古品越境ECを展関する企業です。米イーベイでは、日本発の取引上位品目にトレカやアニメグッズが並んでいます。中古品の品質を重視する日本の中古市場から送り出される高級品が、持続的な人気を獲得しているのです。

 日本国内の家庭で、日の目を見ずに埋もれる資産は膨大にあります。数年前に、フリマアプリの代表格であるメルカリの試算によると、国内の家庭に眠る隠れ資産は66兆円を超えるとも言われていました。年代別に見ると、50代~60代の夫婦2人世帯の隠れ資産は、約132万円となり平均の約111万円を上回るというものでした。ところが現在では、日本の中古品の評価が高くなりました。メルカリとニッセイ基礎研究所の試算では、「かくれ資産」は91兆円に上るまでになっているようです。日本には、自宅などに眠る中古品などの「かくれ資産」が91兆円もあると言うことです。資産を持つ高齢者が、増えています。たとえば、東京都は高齢者人口が、2020年時点で319万人と総人口の2割となりました。単身世帯も、363万世帯と全体の5割を占めるまでになっています。今後、この数字は右肩上がりで増えていくことが予想されます。生活が縮小すれば、使わないものが増えていきます。手持ちの家電や服飾品などで不要になったものは、まず売却や譲渡ができないかを考える人も増え、売却する環境も整ってきています。

 西洋では、中世以来、各階級はそれぞれ独自の衣服によって識別されてきました。貴族や聖職者にとって、衣服が地位や系統などの上下階層関係を表すものだったのです。平民の間でも、職業などによって衣服が規定されてきました。欧米の場合、衣服やバックなどのブランド品を持つことは、それにふさわしい階層の生活レベルを持つことを意味したのです。欧米でエルメスやシャネルを着こなすことと、東京でこれらを着こなすことには違う意味があります。一方、時代の進展とともに変化も見られます。服装が、階層や社会的地位の識別という機能を失ってきつつあります。服装が、個人の自由に属するものになりつつあります。この自由を最も自然な形で、享受しているのが東京になるようです。ルイ・ヴィトンを持つ日本人は、3,000万人いるともいわれます。少し目先の利くビジネスマンならば、日本の巨大な市場性に気がつきます。ルイ・ヴィトンを持つ3,000万人が、消費者なのです。これほど高級ブランドを、庶民から富裕層まで持つ国は他にないでしょう。さらに、他の高級海外ブランドを持つ人達は、9,000万人といわれています。これらの人々が使った高級中古品が、宝の山のようにあるということです。

 日本の中古品は、世界的な評価の高まりより中古品の販売拡大の潜在性があります。国内中古市場の2024年伸び率は、2021年比で玩具・トレカが54%、衣料・服飾品が39%に急騰しています。特に、トレカにいたっては7~9月の取引額が前年同期の2.3倍になっています。この中古品を目指して、外国人の購入も目立つようになっています。コメ兵の中古ブランド専門店では、多くの外国人客が高級ブランド品を品定めしていた。コメ兵が1年前に近くに開いた「1号店」は、外国人の購入が7割と盛況です。アメリカの男性(58) は「米国と違い、日本では模造品の心配がない」と、妻が約7万円で「クロエ」のバッグを買った米ジョージア州の男性は、満足です。ロシア人女性(28)は、「品質がすばらしいうえに安い」と、約20万円する「ルイ・ヴィトン」のバッグに強い関心しめしていました。海外では、中古カメラなど日本発の電子機器も評価が高いのです。日本発の中古ロレックスは、購入者の評価も日本発が5段階中4.742点で首位にたっています。また、日本の取引のスマホは、購入後に本体の傷で問題になる確率が0.5%と主要国で最も低いのです。海外では、「日本の中古品」という言葉自体が価値の高さを示すようになっています。日本で取引された中古の高級品に世界が熱視線を送っているのです。

 眠れる資産の存在を有効利用するためには、資産を持っている方の消費行動を知ることも大切になります。この種の市場調査の重要性は、近年ますます高まってきているようです。その市場調査は、定量調査と定性調査に分かれます。定量調査は、数値化を主体にしたブランド認知度などを集計する調査になります。一方、定性調査は、消費者の個別の声を集める調査になるようです。特に、この個人の調査にビジネスチャンスを見出す傾向もあるようです。この調査の中には、本人さえ気づいていないインサイト(本音)を探る市場調査の手法があります。数値化が難しい消費者の行動の中に、製品に対する本音が隠れているというわけです。本音を探る市場調査手法は、文化人類学などで使われ「エスノグラフィー」と呼ばれています。消費者が店舗で商品を手に取る姿を細かく観察することで、購入を決める際の心理に迫っていくわけです。より積極的には、消費者が家庭内でどのような家具や電気製品をどのようなパターンで使っているかを調べる手法になります。これは、送り込みという手法になります。逆に、家庭内で使われていないパターンを調べれば、不用品の調査にもなるわけです。定量と定性の調査が効率的に行われる手法を開発すれば、優れた調査ということになります。各家庭の資産とその活用方法(不活用のケース)を把握することにより、リユースの資源が明らかになります。日本の隠れ資産は、数年前まで66兆円を超えるとも言われていました。でも、わずか数年の短期間で、91兆円に上るまでになっています。日本の中古市場には、自宅などに眠る中古品などの「かくれ資産」が急速に増加しつつある状況もあります。

 余談ですが、中古品の価値は上がっていますが、その中古品をスムーズに市場に出す仕組みも必要になります。メリカリは、その工夫に取組んでいるようです。メリカリは、リユースを推進する価値観を持つ事業者と連携しています。ヤクルト山陽は、メルカリとの縁が深かったことから、この事業を続けています。ヤクルトレディが家庭を個別に訪問し、不用品を回収し、フリマアプリ「メルカリ」で売る仕組みです。この事業には、自治体の賛同も得ています。この事業は、自治体だけでは目配りできない不用品の回収を、民間事業者が代行する取り組みにもなっています。これには、広島でヤクルト宅配を担うヤクルト山陽が、広島エリアで活動を行っています。その現場を見てみます。黒田さんは、80年以上続く家業の陶器販売店を、今年に入り閉店をしました。彼女は、陶器の売れ残り品の処分に困っていました。フリマアプリを知っていれば、すぐに処分ができたことでしょう。でも、黒田さんは、メルカリの名前をしりません。ヤクルトレディは、週に1回、黒田さん宅を訪れます。彼女は安心して、ヤクルトレディの回収の提案に耳を傾けています。ヤクルトレディが、「この陶器を回収しても良いのか」と聞くと、喜んで同意していました。家にある不用品でも、回収して陶器を欲しい人に譲れば価値が生まれます。さらに、自治体からは、ゴミの増加を軽減する方策としても喜ばれます。地域や家庭の状況を理解しているヤクルトレディの存在が、潤滑油となり不用品が有用な商品に代わっていく流れが見られました。これは、リユースの一つのモデルになります。

 最後になりますが、リユースだけでは楽しくありません。富裕層の高齢者が、充実した生活を送れる仕組みを、リユースと同時に実現する工夫も面白いものです。ヤクルトレディは、1週間に1度訪問販売に訪れてくれます。高齢者にとっては、頼もしい支援者になります。ヤクルトは、腸内環境を整えてくれる頼れる食材です。さらに、ヤクルトレディは、家に必要のなくなった中古品をリユースする役割を受け持つ可能性が出てきました。この可能性をより高めてみました。ヤクルトレディが、マルチワークのスキルと身に付けると可能性が広がります。それは、栄養士や介護士の資格を持ったヤクルトレディの出現です。シニア世代が1日3回の食事を上手に作って、きちんと食べて体調を整えれば、社会は健全になります。シニア世代の低栄養の理由は、食料品アクセス困難に加えて、「献立作り」や料理がめんどうになることが一つの原因のようです。この原因を取り除く工夫に、冷凍というワザをとり入れることがあります。冷凍の技術を取り入れれば、食材の大量保存が可能になり、食材のムダが省けて、段取り力はさらに高まります。食材は冷凍しても、栄養価の変化は少ないのです。一番調理に手間がかかるのは、野菜になります。ひと手間加えてフリーザーバッグに入れた冷凍野菜を、10種類ほど常備しておきます。常時、10種類程度の野菜を冷凍保存しておき、調理に1人分だけ使う料理法です。ヤクルトレディが、週に1回の訪問した時に、レピシを渡すこと、もしくは、1週間分の冷凍を行うサービスをするなどすれば、高齢者にとっては福音になります。もちろん、ヤクルトレディは、それなりの報酬を得ることになります。この役割はヤクルトレディ出なくともよく、新聞配達の方、郵便配達の方、宅配の方、ダスキンの方、介護ヘルパーの方でも良いわけです。

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