受験勉強の心がまえ アイデア広場 その1655

 受験勉強において、自分の目指すレベルに至るまでには、必ず「退屈で単純なプロセス」が存在します。中学校レベルの英語では、単語を知っていればなんとかなる問題が多いものです。中学1年の最初のうちはすべてが新しい学習なので、「力を伸ばす(覚える・記憶する・インプットする)がメイン」です。少し進めば、すでに学習した「力を維持する(復習する・アウトプットする)」段階になります。中学1年~2年は、「力を伸ばす」が8割から9割で、復習が1から2割といったところになる「力を伸ばす」」と「力を維持する」のバランスをとることが、中学の勉強では重要になります。「力を伸ばす」「力を維持する」の差は進むにしたがって縮まり、5分5分のウエイトになります。でも、受験が近づけば、「力を維持する」がメインで、「力を伸ばす」がサブになります。受験勉強であれば、受験の直前には新たに学ぶべきものがなくなります受験の直前には、「力を維持する」」だけになっていなくてはなりません。中学の教科書にある英単語は、1200語程度です。これを覚える作業は、単調で反復の多いものになります。この習得を実現するためにやるべきことの大半は、基本の反復、すなわち簡単で退屈なことになります。「退屈で単純なこと」を投げ出さずに続けるためにはどうしたら良いのでしょうか。「力を伸ばすこと」と「力を維持する」のバランスをとることが難しいと言われます。要は、1200の単語力を維持しながら、英語力を伸ばす勉強をすることが求められるわけです。受験は、英語だけでなく、国数理社の教科も加わります。受験勉強は、これらの教科の「力を維持する」ための単純な勉強になります。この単純な過程では、スランプやモチベーションの低下が必ずやってきます。この単純な勉強とスランプなどの克服が、受験勉強のだいご味でもあるのです。

 中学の勉強は、基礎的なことを毎日、少しずつでいいから続けることが大切になります。習ったことは、忘れるものです。忘れることを前提に、その日のうちに習ったことを自分のものにしてしまう習慣も大切になります。そして、繰り返すことです。毎日決まったことを、決まった時間に、決まった場所で行なうことが大切です。勉強するためには頭を働かせるのではなく、頭より先に身体が動いてしまうようになれば、習慣化ができたとみなされます。さらに、1日のうちで、自分が一番疲れる時間と、一番さえる時間を知り、それに合わせて勉強を行うことも一つの知恵になります。学んだことを誰かに伝えることは、効果絶大の勉強法でもあります。教わったこと(インプット) について、誰かに教える(アウトプット)をすることは知識の整理に繋がります。そして、この誰かに教えることが、より確かな整理された記憶になるのです。教わったことについて、時間をおかずに誰かに教えることで知識が整理され、記憶が確かなものになるわけです。毎日、知識をインプットし、それをアウトプットすることを続けていくと知識の蓄積ができます。積み上げてきた知識が、あるとき干渉しあって繋がり、突然わかるようになる時があります。このように、突然わかるようになることをパラダイムチェンジといいます。たいていの場合、パラダイムチェンジを境に、ぐんぐん学習能力が向上し成績伸びる現象が生まれます。学習を続けていけば、パラダイムチェンジは、一生のうちに何度も訪れて人間を成長させます。残念なことですが、このような学習形態は、受験期間は軽減しなければならなくなります。

 受験期の勉強では、受験の全体像を把握しておく必要があります。全体像を理解していることのほうが、記憶がスムーズにいきます。全体が俯瞰できる優しい教材を選び、この問題を行えば、学習ははかどります。大局的な見地から、全科の教科書の試験範囲に目を通し、まずイメージとしてとらえることになります。大学入試などの勉強を始める場合、できるだけ早い段階で大学入試過去問題集(過去問)を実際に解いてみることが、最も効果が高いと言われています。これは、最終的にどういう問題を解ければ良いか知ることになります。出題される問題のレベルが分かれば、日々の問題を解くモチベーションが高くなります。過去問は基本の反復が多く、その基本問題に習熟しておけば、本番での高得点が約束されるわけです。最終的にどういう問題を解ければ良いか知ることで、努力の方向性が決まります。無駄な努力をする必要がなくなります。一般に、やさしい問題の中に難問を解く鍵が隠されており、やさしい問題をする中で難問に対処できる力がついていくようになります。基礎固めには、飽きがこないよう薄い問題集を数多く演習することになります。様々な問題集がでていますので、自分に合ったものを選んで毎日続けることです。覚えようとする勉強の内容に興昧を持てば持つほど、記憶はスムーズになります。得意科目は興味を持っているので、記憶は効率的に進みます。教材はなるべくやさしいわかりやすい入門書を選ぶことが良いようです。難問を飛ばして、やさしい問題で自信をつけた方がモチベーションは上がります。もっとも、一度できた簡単な問題は、2度目は飛ばして行うことになります。1冊の問題集は、繰り返すごとに、理解が進み、問題を解くスピードは上がっていきます。

 受験でストレスになることは、努力を続けても絶対にうまくいという確信が持でないところにあるようです。また、合格に手が届まくとわかっていても、毎日勉強しなければならない生活はつらいものです。自分の目指すレベルに至るまでには、必ず「退屈で単純な学習過程があります。この単純な過程を、楽しみながら乗り越える人たちもいるのです。単純作業の繰り返しを楽しむこととのできる能力は、天性の才能ともいえます。私たち一般の受験生は、このような才能を持っていない場合があります。そんな場合でも、乗り切る工夫があります。単純なことを「挑戦しがいのある難しいこと」に、転化する工夫が、「ゲーム化」になります。「退屈なこと」を「楽しめること」に転化する工夫のひとつが「ゲーム化」です。一定の時間で、何問解けるかのタイムルールを設定することもあります。一定の課題をどのぐらいの時間で、クリアできるかのタイムルールを設定することもあります。タイムルール際、小道具としてストップウォッチを用意すると、さらに気分が盛り上がるようです。

 万全の受験勉強をしていても、成績が上がらないという場合があります。この成績が上がらない原因は、睡眠時間の確保、栄養のある食事、適度な休息ができていないことにあります。肉体的原因で疲労/が蓄積していたり、体調を崩していたりするケースがほとんどです。あまり寝ていないとか、ちゃんと食事を取っていないとか、何週間も休みをとっていないことに注意が必要です。十分な睡眠時間の確保、栄養のある食事、精神的なストレスのない、三拍子が理想です。「心技体」の三拍子がそろって初めて最高のパフォーマンスを発揮できるというわけです。でも、三拍子が理想などという生活は、実際にはほとんど不可能に近いのです。睡眠、食事、ストレス三つのうちひとつがマイナスになるのはやむをえないと妥協すべきでしょう。睡眠、食事、ストレスのマイナスを他の2つでカバーするよう意識することです。やる気を持続させるために、体調管理が不可欠になります。

 受験勉強には、スランプがつきものです。受験期の勉強で大切なことは、スランプをなくすことではなく、その期間をできるだけ短くすることになります。調子のいいときと悪いときに訪れる大きなスランプの波を、できるだけ少なくすることになります。面白いことですが、高い目標を持っていない人は、スランプに陥りません。学習をしない人には、スランプが訪れないともいえます。スランプは努力している人が、目標に到達する経過における停滞といえるものです。努力を続けていけば、いずれスランプを乗り越えていくものと、楽観的にとらえても良いものかもしれません。スランプとの関連で出てくる言葉に、モチベーションがあります。この言葉は、「やる気」「意欲」「動機」などの意味で使われます。受験期間中に、このモチベーションが上がったり下がったりするケースが出てきます。これも振幅を少なくしたほうが、良い成績を上げることができるようです。モチベーションは、新しいこと難しいことに挑戦しているときほど高いレベルで維持することができます。知らないことを学び、できなかったことができるようになる時には、モチベーションが上がります。でも、試験期間中は、退屈で単純なことを繰り返す学習が多くなるわけです。これからそれると、良い結果は得られないようです。

 最後になりますが、しっかり食べて、よく寝ることは、「続ける」ための必須条件です。勉強などで頭を使ったときは、脳の表面にある大脳新皮質が疲労します。この疲労は、意外と早く回復します。大脳新皮質の疲労は、5分程度の睡眠でも回復すると言われています。難しい疲労は、別にあります。人間関係などのストレスによる脳の疲労は、脳の奥のほうの古い皮質にたまっています。この古い脳の疲労は、じっくり眠らないととれないのです。ストレスがあれば注意力も低下し、脳の働きも悪くなり記憶が落ちるものです。受験期間中とその前後は、人間関係のストレスと軽減しておくことが求められます。もう一つは、不安を持たないことです。不安は、ストレスを強化します。この対策としては、試験中の小さな失敗なら「合格圏内」という安心の感情を刷り込んでおくことになります。「リスクゼロはあり得ない」という心理的防波堤を築いておくことになります。受験や試験は、100点を取る必要はありません。多くの資格試験や大学の試験問題は60~70%で合格ラインに達します。

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