幸せな生活を過ごしたいのであれば、若いうちから訓練の積み重ねが必要です。脳は、楽しいことが大好きです。面白いと思えることには、挑戦してみることです。卓球が好きになり、将棋が好きになり、散歩が好きになれば、嫌なときにはこれらの好きなことをすれば、ストレスの発散ができます。面白いことを感じるには、ドーパミンの分泌が多ければ良いことになります。ドーパミンを効率的に増やす方法は、小さな達成感を数多く味わうことになります。卓球でも将棋でも、少しずつうまくなれば、その達成感を味わうことができます。もちろん、仕事でその達成感を味わうことができれば、ハッピーです。仕事や余暇の中に、脳が楽しくなる仕掛けを仕込んでおくことも、一つの知恵になります。一方で、仕事にしても、趣味にしても、そのスキルを高めるには、学ぶために一定の時間が必要です。いわゆる、時間管理というものです。時間を生み出すには、それなりの工夫が必要になります。その工夫には、個々人の生活水準や環境によって多様化してきます。今回は、時間の生み出し方や効率化について考えてみました。
現代社会は、日進月歩でイノベーションが進んでいます。学生時代に習得した知識や技能だけでは、変化の激しい産業社会を生き抜くことができなくなりました。知識やスキルそして、趣味のブラッシングが、常に求められる時代に入ったともいえます。このブラッシングは、個人のやる気だけでは難しい面もあります。企業も、個人の能力向上を支援する体制が求められるようになってきました。ブラッシングには、時間の確保とその効率性が求められます。時間の確保については、3区分法の考え方があります。多くの国は、制度上、8時間労働になっています。週休二日制が多く、有給休暇なども制度上確立しています。それをまとめると、1年間の総時間は、24時間×365日の計算で8760時間になります。働く人の生活時間は、睡眠などの生理的時間が8時間(計2920時間)、労働時間が8時間(8時間×365日÷7× (7日-2日)の計算で計2080時間)、余暇時間が8時間という3区分法が成立するようです。労働時間は、8時間×365日÷7× (7日-2日)の計算で2080時間になります。それに対して、余暇時間は、8時間×365日÷7× (7日-5日)+ 2920時間=3750時間になります。1つの技能を伸ばすための時間は、1000時間といわれています。個人は、この3750時間を、知識やスキルそして、趣味のブラッシングに当てることが可能になります。余暇時間が3750時間もあると思うと、嬉しくなります。でも、この余暇の時間を多くの人は、ブラッシングではなく、家事や育児に使うようになる現実があります。
横浜市立大学の研究グループは2023年、時短家電などの導入状況との関係を調べています。夫婦約1万世帯を対象に、妻の自由時間と時短家電の導入状況との関係を調べたものです。横浜市に暮らす妻が20~30代の夫婦約1万世帯を対象に、新三種の導入との関係を調べたわけです。ちなみに「新三種の神器」は、食洗機、ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機になります。この「新三種の神器」には、家事に対する時間短縮の効果があることが分かりました。調べによると、ドラム式洗濯乾燥機は35.1分、食洗機は20.6分、ロボット掃除機も14.8分の時間短縮の効果がありました。この「新三種の神器」を取り入れれば、平日の家事時間が0.9時間(54分)短かったという成果になります。この短縮された時間を、ブラッシングに使えば、知識やスキルそして、趣味のブラッシングに当てることができます。
2021年の社会生活基本調査によると、働く妻の1日の家事時間は平均3時間31分になります。家庭の状況により、家事時間も変わります。たとえば、働く妻の1日の家事時間は、6歳未満の子どもがいる場合は2時間55分になります。それが、子どもが6歳以上になると3時間45分になります。さらに、18歳未満ら子どもがいる働く妻の1日の家事時間1平均3時間31分になるのです。子どもが大きくなるほど、時間短縮のニーズは切実になるようです。蛇足ですが、フランスのキャリア女性は、仕事に集中する時間、そして子どもと向き合う時間の両立を実現させています。彼女たちは、家事や育児を可能な限りアウトソーシングしているのです。アウトソーシングという家事代行のおかげで、母子ともに栄養バランスのとれた食事と清潔なお部屋で健康に過ごす環境を手に入れています。日本のキャリアウーマンは、家事や育児のアウトソーシングに抵抗感を抱く人は多いようです。これらのアウトソーシングを採用しているキャリアの生産性は著しく向上しているという事例も増えています。家事代行の投資効果は、職場の仕事の生産性向上に現れているようです。
家事や育児のアウトソーシングで、時間短縮を実現する方法もあります。でも、日本の場合は、夫婦で家事を分担し、家事時間の短縮を図る流れになるようです。その中で、家電の導入による時間短縮を求める家庭もあります。「新三種の神器」で、家事時間が0.9時間(54分)の時間短縮ができました。この神器を1週間使うと、6.3時間の時間短縮です。時給1000円の時代ですと、新三種の神器は週に6300円稼ぐことになります。1ヶ月で約25200円、年間で60万円ほどになります。労働に換算すると、60万円になるようです。「新三種の神器」の減価償却は、1年から2年で終了することになります。また、家事の代わりに働いたらいた場合、いくらら稼げるという「機会費用」といわれる考え方があります。「新三種の神器」は、この機会費用の考え方でも、優位な面を持っているようです。もちろん、「新三種の神器」を使えば、電気代も、水道代も増えます。それを考慮しても、優位性は、維持できるようです。
余談ですが、現代社会において、大量の情報を瞬時に処理するスピード感も求められています。ゆっくり読む読書も楽しいのですが、必要な知識を短時間で読み込むことも楽しくなることがあります。速く本を理解するには、コツがあるようです。資料を読むときは、結論から読んでいくと短時間で全体を把握することができます。読書の要諦は、読んでインプットしたことを、短い言葉でアウトプットすることにあります。そのためには、序論と結論を理解し、途中の2~3箇所をおさえるだけで、だいたいの内容をアウトプットできるようです。ある達人は、新書や文庫を3分で読み、内容を説明してコメントを言ってのけるようです。時間が区切られると、適度な緊張感があり、集中力も高まります。9割は捨てると思っていれば、読みとばす速度も速くなるようです。英語の論文だと、必ず最初に要約が書かれています。英語の論文では、最初に結論まで書いておくのが作法になっています。達人は、さらに言い添えます。100冊読破を目安にして、読めば読むほど知識量が増えて、超速読力が鍛えられるというのです。そして、読書家の人は、1万冊まで行くと、本を見る目ができてくると言ってのけます。俗人は、1万冊の本を読むことが不可能だと考えるものです。でも、3分で1冊の本を読むと、1時間で20冊が可能になります。1日8時間の余暇時間を使えば、160冊、10日で80時間を使えば、1600冊、そして100日800時間を使えば16000冊の本に目を通すことが可能になります。0.9時間を使って、読書などを楽しむことも選択肢になるかもしれません。
最後になりますが、最近はユーモアそのものが、日常生活の中で非常に重要であると、学問的にもわかってきました。哲学者、文化人類学者等がユーモアについて、さまざまな角度から研究発表を行うようになりました。ユーモアが健康に与える影響は、身体的な側面と精神的側面、そして社会的側面とに分かれるようです。その中で、笑いが創造性に関与する仕組みを暗示するものがあります。情報がありすぎて、じっくり考える時間がとれないと悩んでいる人々も多いようです。どのような情報を頭の中に残し、そして捨てるのかが、悩ましいのです。その取捨選択に、笑いが関与するという説です。笑うと、過去の記憶はだんだん薄れていきます。忘れてしまうことは、自分にとってあまり重要だと感じていなかった情報だということになります。笑いが、脳の中の消去の作用と選択の作用をスピーディーに行う機能を持つというわけです。ユーモアや笑いのスキルを高めるには、一定の時間が必要です。余暇時間、もしくは仕事時間の中で、これらのスキルを高めていきたいものです。そのためには、時間が必要です。時間を生み出すツールの使用方法、そして知恵が求められます。