分かってできるようになる勉強と出会うことは、学びの重要なステップになります。分かってできるようになるための秘訣は、学習習慣の定着になります。基礎的なことを毎日、少しずつでいいから続けることが大切になります。習ったことは、忘れるものです。忘れることを前提に、その日のうちに習ったことを自分のものにしてしまう習慣も大切になります。そして、繰り返すことです。毎日決まったことを、決まった時間に、決まった場所で行なうことが秘訣になります。勉強するためには頭を働かせるのではなく、頭より先に身体が動いてしまうようになれば、習慣化ができたとみなされます。さらに、1日のうちで、自分が一番疲れる時間と、一番さえる時間を知り、それに合わせて勉強を行うことも一つの知恵になります。学んだことを誰かに伝えることは、効果絶大の勉強法でもあります。教わったこと(インプット) について、誰かに教える(アウトプット)をすることは知識の整理に繋がります。そして、この誰かに教えることが、より確かな整理された記憶になるのです。教わったことについて、時間をおかずに誰かに教えることで知識が整理され、記憶が確かなものになるわけです。このようなことは多くの人は頭では分かっているのですが、実践となるとなかなかできないものです。今回は、頭で分かったことが、実践に結びつくためにひつような学習ツールについて考えてみました。
成績上位でやる気に満ちている子どもの特徴は、親のはたらきかけのうまさにあります。たとえば、国語の授業で芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の文章の一部分をテキストで扱う授業がありました。すると、お母さんが本屋で芥川の文庫本を買ってきて家族全員で、読みまわしをするのです。地理で「北海道」を教わった日の数日後に、北海道産と他県産のジャガイモが食卓に出ます。学習が言葉や知識だけでなく、モノやコトとして目の前に提示される迫力は、記憶の定着を確実にします。子どもの運動や学力に、影響を与える第3の変数が存在します。この第3の変数は、交絡因子と呼ばれています。子どもの運動能力にも学力にも影響している熱心な親という交絡因子が、もろもろの成果を引き出しているようです。子ども自身が決めた目標と日々の成果を、目に見えるように可視化してあげているのです。目標を可視化したら、次は努力の経過も見えるようにそれとなく提示していく理想的な家庭もあります。
学校で算数の問題を行う場合、学習指導要領に基づいて行うことになります。いわゆる目標、内容、方法、評価という流れの中で算数の問題の成就度が把握されることになります。一般的に、授業が理解できたかどうかを調べるには、3段階の評価過程があります。最初は、診断的評価のテストで、単元前の学力を調べることになります。次に、授業や宿題などの学習活動の後で、子ども達一人一人の習得の度合を形成評価する段階になります。この授業における形成評価には、遅れている子どもには補習的指導を繰り返すような支援する側面もあります。最後が、総括評価が子ども達の学習進度や学力を把握するテストになります。診断、形成、総括の流れが随時把握できれば、学習目標との関連で、子ども達の学力形成が逐一把握されるわけです。もっとも、理想と現実には、常にギャップがあります。理解できたかどうかは、テストによる判定が一般的です。このテストの作成と採点が一つの壁になります。この作業を、担任の先生が1人で行うには多大な時間を要します。さらに、出た結果を分析し、個々の子どもにあった支援をすることにも時間を要します。できた、できなかった、その理油は、などを素早く把握し、適切に各子どもに合った支援をすることが望ましいわけです。
頭で分かり、家庭の準備ができても、学校の問題でなかなか理想の学びができない状況がありました、でも、これを打開するツールが現れました。そのツール1つが、コニカミノルタ(コニカ)のAIサービスになります。コニカは学習ドリルの正答から個別の習熟度を調べ、最適な教材を提案するAIサービスを始めました。コニカ単独ではなく、ここに、「すららネット」のAIサービスと提携したのです。小中学校向けの学習システムで、デジタル教材開発の「すららネット」と提携したわけです。提案できる問題数は、コニカミノルタの9万問と、すららの20万問があります。問題数を3倍以上の29万問に増やし、より学習成果の向上につなげようとしています。すららネットとコニカミノルタのAIを連携し、より個別のニーズにあった提案をしているわけです。ちなみに、このAIサービスは、米オープンAIが提供するGPT-40mini以上の性能を持っています。AIモデルを安全に使えるコニカミノルタのサービスは、生徒の習熟度に応じて提案できる優れものです。一方、すららは個別の設問でのつまずきが、「計算間違いによるものか」、「本質的な理解不足なのか」などを推定するAIが強みになります。2025年度中に、コニカミノタのAIサービスで、「すららネット」の教材が使えるようになります。
コニカミノルタは、学校向けの生成AIシステムを開発し、実証実験を行ってきました。現在、小中高校などに通う生徒らと教員の計16万人程度が生成AIを利用できる環境を構築おこなっています。コニカはこうしたノウハウを生かし、東京都と教育現場の実装に向けて連携しつつあります。コニカは、東京都立学校を対象に生成AIによる支援サービスを提供すると発表しました。東京都から都立学校における生成AIシステムの構築や保守などの業務を受託したのです。教員や児童生徒にアカウントを付与し、サービスの利用ができるようにするわけです。教師は、生徒の自宅学習用ドリルを制作する手間や、人ひとりの学習支援の負担を軽減できるようになります。各生徒の学習状況は、クラウド上で教師がダッシュボードなどで確認できます。このサービスは、自治体ごとに生徒一人ひとりのレベルにあわせてAIが学び方などを助言することも可能です。最適な教材を提案するAIサービスは、約60の自治体や団体に導入されています。各自治体は、学力調査や学習指導要領のデータを活用しているようです。
余談ですが、九州大学では、教育データの活用に取り組んできました。19000人の学生と8000人の教員に、学習管理や教材配信システムが提供されています。現在開講中の4800科目で、データの活用が可能になっています。教育のデジタル化は、学生の質疑の応答や教材へのアクセス記録を容易に収集し活用できる環境を整備しつつあります。将来的には、小学校から大学、そして社会人教育までの教育データを本人の同意のもとに蓄積する構想をもっているようです。デジタル教育の導入により、学習履歴をデータベースとして蓄積が可能になり、そのデータを利用する仕組みができるわけです。客観的な教育効果のデータを得られ、生徒や学生だけでなく、教員の客観的な指導力の評価も可能になるというものです。幸いにして、日本のITインフラの整備が進み、デジタル教科書も実現してきます。デジタル教科書の副教材やデジタル学習のソフトが進化すれば、各個人のレベルでも学習を進めやすくなります。教員は個々の生徒の学習履歴を瞬時に把握でき、それに応じた課題が出せます。教材に子ども達が合わせるのではなく、子どもの発達に教材を合わせることも可能になります。小中高のデジタル学習内容が一つのタブレットに集約されていれば、子どもの発達に合わせた教材配列が可能になるかもしれません。この萌芽の一つが、コニカミノルタなどのAIサービスが担うのかもしれません。
最後になりますが、デジタル教科書ができれば、1つのタブレットに、小学校1年から高校3年までの学習内容を系統的に配置も可能になります。これをクラウドデータベースなどのタブレット端末などを使って、家庭でもテストを受けられることも可能です。デジタル教科書にオンラインが接続されれば、教育の範囲はさらに広く便利になります。このような教育デジタル化が進めば、クラウドサービス利用して教育と学習プロセスが自動的に記録することも可能です。もし、このようなことが実現できれば、文科省が行う全国学力テストなども、必要なくなります。1年ごとに子どもの学力を調査するのではなく、子ども達が学習に取り掛かった瞬間に、子ども達の学力を把握できるわけです。2020年の学校再開後の学力テストでは、下位層の成績の落ち込みが顕著だったと言われています。教育のデジタル化が実現していれば、より具体的に、どの地域のどの子ども達の成績が低下しているのかをすぐに把握できます。分かれば、すぐに必要な支援が可能になります。さらに、IT技術者に必要な理数系の成績などの把握も可能になります。子どもの希望が優先されますが、理数系に関心のある子どもをより高みに移動させることも容易になるかもしれません。国の力の一つは、優秀な頭脳を多く持つことです。日本は教育に優れた面を持って、経済成長を遂げてきました。ここで、もう一度教育の制度を見直し、子ども達を高みに育てていきたいものです。