美を享受する人達  アイデア広場 その1694

 人生百年の新しい社会生活は、身体機能維持することが第一になるでしょう。次に、美しくというコンセプトが、上げられるようです。生きるだけでは、物足りない。美しさを享受しながら、生きたいと希望する方も増えています。美しさは、社会のなかで生きていく意欲を持ち続け、活き活きと生活するための原動力になります。化粧を行う中で、特に高齢者の女性は、お化粧を行う中で日常生活にメリハリをつけ、生きる楽しさを享受している方も多いようです。需要が多くなれば、供給する側には、ビジネスチャンスが生まれてきます。

 美をよく見ていくと、美には一定の様式があります。肌が赤い光を反射すると、小じわや毛穴、そしてシミが目立たなくなります。以前は、この反射生かして小じわを目立たなくする化粧品が売れていました。最近では、小じわやシミを隠すのではなく、「なくせば良い」という流れになっています。化粧品業界は、肌の弾力を保ち、保水力を維持するための化粧品の開発に力を入れています。老化が進むと、成長ホルモンの低下で、肌の弾力がなくなり、小じわができやすくなります。このホルモンの分泌は10代がピークで、30 歳以降になると10歳ごとに25%ほど低下するようになります。このホルモンの分泌が低下し続けると、化粧品に頼ることになります。さらに、化粧品だけでは小じわが取れなくなると、次の手段になります。コラーゲンを注入したり、メスで切開手術をするようになるわけです。

 美を求める手法は、日進月歩です。成長ホルモン分泌の低下、シワの発生、化粧品の多用化、コラーゲンの注入などが一般的でした。この上をいく製品が、猛毒のボツリヌス菌から開発されてきています。それは、A型ボツリヌス毒素から開発された「ボトックス」という商品名の薬品です。ボトックスは患部に注射することで、表情筋の動きを抑制してシワをとる効果があるのです。コラーゲンを注入したり、メスで切開手術よりはるかに簡単で効果的と言われています。ボツリヌス菌は、皮膚科や美容整形外科でも注目を集めています。青酸カリの致死量は、5~10mgです。ボツリヌス菌の毒素は、その数千分の1が致死量になります。猛毒も、美を享受したい人間を美しくする物質に利用できるわけです。

 化粧について探求していると、服装と化粧の複合的美が高い評価を得てきます。その頂点に位置して美を表現する人達が、ファションモデルの方達になります。以前、このモデルの条件は、細身ということでした。それが、変化してきたのです。痩せすぎたモデルへの警鐘が、発せられるようになりました。2015年のフランスでは、「痩せすぎモデル」禁止法案が可決されました。モデルが細いだけでは、健康的ではないという考え方です。痩せすぎた健康的でない身体に、美的要素は見られないということにもなります。痩せすぎたモデルへの警鐘は、日本にも波及してきています。この流れから、健康と美が一体化した化粧を提供できる企業が、大きなビジネスチャンスを獲得できるのかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました