肥満は健康の敵だ、では、最善策は何か! アイデア広場 その1711

 厚生労働省は、肥満が原因で糖尿病になる人とその予備群の人を合わせると、約2000万人と発表しています。この2000万人の人達は、普通の人に比べ、病気になる割合が高いことが知られています。肥満に悩む人達に、夢のような肥満症治療薬が開発さらした。これは、「GLP-1受容体作動薬」というタイプの薬になります。この薬は、血糖値を下げる働きから、糖尿病の治療薬として開発されてきました。ました。その中で、血糖値を下げる働きがあるほか、中枢神経に働きかけて食欲を抑える作用もあります。中枢神経に働きかけて食欲を揃える作用による減量効果が注目され、肥満治療に転用されたわけです。薬の効能は、食欲を抑え満腹感を感じやすくすることで体重減につなげることになりました。この種の薬は、米国や欧州で、肥満症薬の利用が富裕層の中で広がっているようです。米国のワシントンDCに住む59歳の女性は、肥満症薬の効果に喜びの声をあげています。この女性は、毎週0.5キログラムのべースで減量でき、約16キログラムも痩せたのです。もう以前のように甘いお菓子を食べたいとは思わないと話しています。課題は、米国での治療費は年1万ドル(日本の場合、保険適用外で20万円程度)と価格にあるようです。

 薬価が高いという他に、食欲不振から筋肉をつくるたんぱく質の不足にも課題があります。最近の研究では、筋肉が分泌するホルモン(マイオカイン)の中には、認知症やガンを予防することに効果が認められています。マイオカインには、認知症以外の病気を抑え込む効果もあることが明らかになってきています。この物質が多く分泌されると、脳の機能が高まることが分かってきました。逆に、筋肉が萎縮すると脳の機能が低下することも分かってきました。食欲がわかなくとも、美味しく食べられるお菓子や食品のニーズが出てきました。ある企業は、すばやくこのニーズにアイスクリームというモデルで対応しました。一般に、一般的なアイスクリームに含まれるたんぱく質が100グラムあたり3~4グラムになります。このアイスは、砂糖は使わず、たんぱく質が約7グラムと 2倍近く摂取できるように作られています。売れ行きは好調のようです。

 もちろん、たんぱく質を摂取しただけでは筋肉は増えていきません。人間の欲求には、限りがないようです。摂取したたんぱく質をいかに、速く筋肉にかえていくという課題に直面します。そのモデルが、能力の高いスポーツ選手ということになります。最近の研究では、優れたスポーツ選手には特殊な腸内菌があることが分かりました。オリンピックに出場した選手は、そのスポーツにおける最高位に位置しています。金メダルを取る選手は一般の人に比べ、1.5倍ほど多様な種類の菌を持っています。その腸内細菌の多さが、身体に良い働きをもたらしているようです。選手は、練習と規則正しい食事、そして睡眠をベースに鍛え抜かれ能力が向上しています。この向上を支援する腸内細菌の存在が、注目を浴びています。この事例の1つが、ボストンマラソンにありました。この大会に参加する選手の協力を得て、走る前と後で「便」を採取しました。この便からトップアスリートの腸内にすむ菌をマウスの腸に移植したところ、マウスの運動能力が高まるという現象が見られたのです。優れた選手の腸内細菌が、他の人にも良い影響を与えるかもしれないという可能性を示しています。

 腸内細菌の本格的な医療応用が進んできたのは、ここ10年のことになります。人の腸内には1000種の以上の細菌がすみ、その数は40兆個以上とも言われています。ビフィズス菌などの善玉菌と大腸菌やブドウ球菌といった悪玉菌などが、腸内で「細菌叢」(腸内フローラ)と呼ばれる集団を形成しています。悪玉菌が、時に悪さをすることも経験的に分かっていました。最近、注目されている腸内細菌を意識した食事法です。色々な野菜を食べている人は、腸内細菌の種類が多く便通の良いことが分かっています。食物繊維は腸内細菌の餌となり、腸内細菌を増やして腸内環境を整える働きもします。たとえば、GLP-1の薬を服用し、食欲不振になった方います。彼・彼女が筋肉の減少に悩んでいる時に、食べやすい食べ物と早く筋肉をつける腸内細菌を意識した処方(運動、睡眠など)を提供すれば、ビジネスチャンスの芽がでてきます。

 すでに、この知見を利用する企業も現れました。この先陣を切ったのは、豪州のスタートアップのバイオームバンクになります。この起業は、健康な人の体内にある腸内細菌の成分を病気の人に移植する手法を始めたのです。現在は、腸炎の治療法として、腸内細菌を活用する製品を開発しています。健康な人の体内にある腸内細菌を、病気の人に移植し治療効果をあげているわけです。このように腸内細菌の研究は、有効な腸内細菌をいかに集めて、貯留するという流れになっています。山形大学と日本のスタートアップも、共同研究を通じて、病気の治療に有効な腸内細菌を集めるバンク事業を始めることになりました。健康な人の腸内細菌を集めて、凍結保管するバンク事業を始めたわけです。病気の治療に役立つ細菌を調べ、腸内細菌叢に働きかける新たな薬剤の開発も始める計画が進められています。疾患ごとに異なる治療効果のある腸内細菌を見つけ、生物製剤としての実用化を目指しています。肥満に悩む方たちが、スムーズに健康体になることを祈りたいものです。

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