進化する共同配送と共同購入  アイデア広場 その1540

 あらゆる産業において、物流の改革が進められているようです。特に、食品や日用品各社が、生産から店舗までの物流改革を急いでいます。先日、コロナ過の最中にトイレットペイパーの不足が生じました。これはトイレットペイパーが、かさばるために、トラックに積み込む作業が遅れたことも一つの原因でした。従来はメーカーから卸業者に届いた段ボールを、フォークリフトで運びやすいパレットに載せる作業があります。次にスーパーなどの店への出荷する時には、かご型台車に移動する作業になります。さらにスーパー店では、小回りのきく車輪付き小型キャリーに載せるという3度の積み替え作業を行っていたわけです。3度の作業は、人的にも、コスト的にも、そしてカーボンフリーの立場からも無駄が多いという状況がありました。無駄があれば、それをなくす改革も進んでいます。3回もあった積み替えをゼロにする改革が進んでいるのです。工夫された案は、スーパーなどの店舗を起点にするというものでした。発想を転換し,最初のメーカーの出荷時から、店舗別キャリーに載せる方式に変更したわけです。キャリーから、お客さんが商品を選ぶ手法にしたわけです。

 さらに、ライバル企業であっても、協業する仕組みもできつつあります。アサヒビールとキリンビールの両社は、北陸地方に工場を持っていません。この両社は、同じ貨物列車にビールを混載して北陸地方の駅に輸送することを始めました。JR貨物の駅で、両社のビールを混載して北陸地方の駅に運ぶ方式を取ったのです。大阪から北陸のトラック輸送を鉄道輸送に切り替えることで、ドライバー不足を補う苦肉の策です。アサヒビールとキリンビール両社のビールを混載の実現には、JR貨物の努力も見逃せません。列車予約の仕組みは、従来は7日前でないと確定しませんでした。JR貨物は、この荷主に不評だった列車予約の仕組みを改善したのです。輸送日の28日前に、予約できるようにしました。製造や輸送に余裕を持てることになり、ビール各社にとって、利用価値が向上したというわけです。今回は、物流をいかにスムーズに行うかを考えてみました。

 部分最適を全体最適にするという流れは、業界の枠を超えて進んでいます。アサヒ飲料と日清食品は、共同配送に踏み切ることになりました。アサヒは茨城県の工場で生産した飲料を佐賀県の配送センターに輸送します。このとき、積載重量の限界を超えないように調整しているので、トラックの荷台には隙間があるのです。この荷台の隙間に、軽い日清の即席麺を積み込むわけです。トラックの空間を、有効利用することになります。同じようなことは、サンスターとキューピーでも行っています。サンスターの容積は軽い歯ブラシが中心のために、重量ベースでは限界値の6割を使い、荷台の容積の8割を使ってきました。この場合、営業用トラックの積載率は4割程度で、積載能力も十分に生かされていないわけです。ここに、キューピーの調味料を一緒に積み込むことで、重量ベースで9割を活用できるようになったのです。積載能力を確保するためにも共同配送に踏み切る企業が増えています。経営効率とカーボンフリーの一石二鳥を実現しているのです。

 共同配送だけでなく、共同購入の流れも出てきています。DDグループは、レストランの運営ならびにコンサルング事業を中心とする企業になります。DDグループは、特徴ある飲食店を多数展開しています。加工品や農産物、ハンバーグやソースなどのPB商品といった5000品目を取り扱っているのです。特徴は、コメやサラダ油、輸入食品もメーカーから一括で仕入れることにあるようです。野菜は、約30の契約農家から70品程度を直接仕入れています。価格を年単位で固定しており、仕入れが短期の相場変動に左右されにくいのが強みになっています。たとえば、サニーレタスは1つ148円と一般的な仕入れ価格よりも約3割安い価格で提供しています。一括仕入れで、メーカーや生産者から有利な条件を引き出しているのです。さらに、DDグループ傘下のDDプラスは、飲食店の共同配送を手掛けています。Google Cloudを活用して、天候や店の営業時間の違いに柔軟に対応できる効率的な配送計画を構築するようです。

 共同配送と共同購入の両立は、これからのトレンドになるかもしれません。帝国データバンクによると、2024年の飲食店の倒産件数は前年比16%増の894件と過去最多になりました。物価や人件費の高騰で経営環境が悪化し、飲食店の倒産件数は過去最高の水準になっているのです。規模別では、1億円未満の倒産が784件と9割近くを占めています。資金力の少ない飲食店が、倒産に追い込まれているようです。逆を言えば、コストを抑制に成功した飲食店は、生き伸びていることになります。一つの工夫として、コスト抑制のため中小の外食企業が手を組む動きが広がってきました。この流れを、DDグループが支援しています。DDグループは、食材の共同仕入れを手掛けています。この共同仕入れは現在、東京など1都3県を中心にグループ外の外食企業の400店舗ほどが利用しています。DDが提供する共同仕入れービスで、2~30店程度の小規模飲食店を新たに募集もしています。食材の共同仕入れの参画店舗数を、2028年までに現状の3倍弱に当たる1000店に増やす計画です。DDグループのような中小連携の動きは、さらに広がりを予想されます。仕入れ量を増やして、より安価に食材を仕入れられる仕組みを作り、中小の飲食店が共栄共存を図っていくわけです。

 余談ですが、マッチングアプリが配送の問題解決に貢献するようになりました。ある起業が、バースの待ち時間を減少させる予約サービスの仕組みを作りました。この予約サービスは、運送会社が入場希望の時間を予約すると場所が割り当てられるのです。入場希望の時間を予約すると場所が割り当てられ、運転手のスマホ端末に伝達されます。入場車両の情報が可視化され、平均1時間前後に及んでいた待機時間は7分に減ったという事例もあります。この仕組みを、花王など180社以上が約250拠点で導入し、運送会社など4千社以上が利用しています。お話しは、中国に変わります。中国の料理宅配が、新たな局面に入っているようです。割安に注文や宅配してもらえる「共同購入サービス」が支持を広げています。調理宅配のアプリを開くと、まず飲食店が提供する対象メニューの一覧が表れます。頼んだチャーハンのセットは16元(約320円) で、普通に注文した場合の半額でした。この安くできる理由は2つあります。飲食店は1回の注文で2人以上に売れるので「薄利多売」が可能になります。1回で2人以上に宅配できるので、注文ごとに別々の利用者に届けるより配送効率が高くなります。「薄利多売」で、販売価格を下げられることが、1つの理由になります。もう一つは、配達員も1回の注文で2人以上の利用者に宅配ができ、収入が増えます。料理を選んで注文ボタンを押すと、同じメニューを注文したい他の利用者の募集が始まります。共同購入を早く成立させるために、近隣の利用者同士を素早いマッチングが必要になります。驚くことに、マッチングは約10秒で完了し注文が成立したのです。場所や人のニーズ、そして輸送手段などの最適化を求めるビジネスは、次々に現れることでしょう。

 最後になりますが、共同配送や共同購入は、企業単位で、これからも形を変えて次々に現れます。アサヒビールとキリンビールは、ライバル関係にありました。でも、大阪から北陸への輸送では、鉄道を使った共同配送の仕組みを作り上げました。現在は、企業だけでなく、国の共同購入や共同配送も視野に入る時代になっているのかもしれません。世界最大の天然ガスの輸入国は、日本になります。それに続くのが、お隣の韓国なのです。最近、公害問題できれいなエネルギーを求める中国も、天然ガスの輸入を急増させています。これらの3カ国は、欧米諸国に比べれば、高い価格で天然ガスを輸入しているのです。この世界最大の輸入国同士が、バイイングパワーを発揮すれば、天然ガスの調達価格を引き下げることが可能になります。確実な供給と息の長い付き合いが、大切になります。犬猿の3か国ですが、天然ガスについては、一致した合意をし、統一行動をとれば、国民への還元する資金は今より豊富になるかもしれません。

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