KDDIとJR東が、高輪ゲートウェイシティ街で面白い事業を展開するとのニュースがありました。それは、このシティ街で、位置情報の把握といったデジタル技術を使ったサービスになります。まず、高輪ゲートウェイシティの街で、防犯カメラの映像をもとに街中の人の属性を判別します。街中の人の属性を判別し、需要の見込めそうな商品をロボットが自動で配送するサービスの実現です。今回の取り組みの特徴は、街の来訪者が注文をしなくても欲しい商品が運ばれてくる点になります。KDDIとJR東は、街ぐるみの実験的なサービスとして、ロボットによる商品の自動配送を始めます。KDDIとローソンは、資本業務提携を通じて共同経営体制へと移行しています。そのローソンが、この先端地域で未来の販売を行うようです。ローソンが複数の商品をロボットに積み込めば、自動でロボットが街中を移動し配送する仕組みです。JR東の社長は「この街だからできる創造性の高い暮らしを実現していきたい」と話ししています。また、KDDIは高輪で知見を積み重ね、先進的サービスを全国の街やオフィイスに展関する意図を持っています。
では、未来のモデルはどのようなものなのでしょうか。子ども連れの家族が、高輪ゲートウェイシティを訪れます。この家族のカメラの映像から、家族の行動パターンを認識することから始まります。カメラからの映像データを、人工知能(AI) 活用して分析します。その分析の中で、子どもが飲み物を欲しがっているある場合、飲料に需要があるとの見立てでロボットが子どもの家族のところに移動します。需要があるとの見立てでロボットが移動し、その家族の近くまで飲み物を届ける仕組みです。まずは無料配布から始め、将来的にはロボットを使って商品を販売する仕組みを構築する計画です。将来的には携帯電話から取得できる年齢や性別といた属性データを組み合わせて利用することになるようです。高輪は、(明治時代に)日本で初めて鉄道が開通したイノベーション発祥の地でもあります。ここに集まる人々は、先端の技術への親和性は高いようです。
KDDIは、本社を高輪ゲートウェイシティに移転しました。このKDDIは、オフィスビルの従業員向けにシステムの運用を既に始めています。そのーつが、スマホのアプリでローソンの商品を注文し、配送料を払う仕組みです。KDDIの本社内で開業した高輪のローソン新型2号店は、レジを置かない店舗になっています。通常は、4人で運営する規模の店舗になります。でも、ロボットへの商品積み込みなどを1人で対応しています。商品を注文した場合、配送料を払うオフィス内の自席までロボが届けてくれる仕組みになります。来店者の場合は、専用アプリから商品バーコードを読み取るなどして精算することになります。これは、小売業の人手不足対策も意識しています。この販売方式は、様々な社会課題の解決法や新ビジネスを生み出す実験場としての意義があるようです。KDDIは街やオフィス向けサービスを高輪で育てて、他地域への展開につなげる意図があります。
高輪は便利な地域になるようですが、便利だけでは良い居住地域とは言えないようです。近年、顔の表情や身体のしぐさから、感情を評価するシステムが開発されてきました。ポジティブとかネガティブなどの表情やしぐさから、評価していくものです。たとえば、高齢者のスプーンを口にするサッキングの様子を十分に観察し、ポジティブな状態かどうかを見極めて、ケアの改善につなげた事例などあります。また、表情だけでなく、椅子をゆらすロッキングを観察して、ケアの改善につなげる介護施設もあります。身体や知的に障害があっても、自分の生活や人生のあり方に主体的に取り組むことが評価される時代になっているようです。消費が美徳という時代は、終わりました。ある意味で、物質的満足より上手に生きる満足が、より価値がある時代になったようです。高輪ゲートウェイシティ街も、物質的便利さや利益の拡大だけでなく、生きる満足を充足する街になってほしいものです。
発展する都市部は、成長が見込めます。その意味でも、高輪ゲートウェイシティ街は資産価値を高める可能性を秘めています。一方、衰退する地地方都市の中でも、資産価値を高めている地区があります。香川県高松市の丸亀商店街は、資産価値を高めることに成功しています。この町の商店街振興組合は定期借地権を活用し、土地の所有と利用を分離した商売を行う仕組みを作りました。この借地権を活用し、土地の所有と利用を分離する方式は地権者がリスクを負う仕組みになります。丸亀地区の地権者は、リスクを覚悟でこの案に乗ったのです。店を営業している人達は、消費者のニーズを捉えながら、商売に徹して稼いでいます。これらのお店の工夫に吸い寄せられるように、若者が多く集まり、そこから地域の活性化が始まっています。地権者は土地を組合に出資し、商業の活性化を促し、地代としての利益を得ているのです。丸亀地区は、高齢者にとって、住みやすい場所になっています。入居の大きな理由は、医療介護施設の完備にあります。マンションの1階に診療所があれば、通院の心配ありません。診療所と高度医療機関との連携も円滑に行われています。医療が充実し、住むところが商業施設として整備され、若者がいる地域は、高齢者にとって住みやすい場所になります。丸亀地区の売上げは、開発前の3倍以上になり、買い物客は1.5倍以上に増加しています。建物の固定資産税の評価額は、400万円から3600万円になり、税収を大きく増やしました。高齢者が、介護医療施設の完備した地域に移動し、できれば、その土地の権利を獲得し、資産価値の上がるのを見ながら、最後の看取りを待つというシナリオも面白いかもしれません。
余談になりますが、表情や動作から、人間の欲求や認識機能を見抜く技術が進化しています。そのモデルの1つが、軽度認知障害(MCI)になります。MCIは、認知症の一歩手前の状態になります。MCIの段階で運動習慣や服薬の対策をすれば、進行を遅らせ、認知機能を保てる可能性があります。これを放っておくと、認知症になるリスクが高くなります。この違いを気軽に調べることができれば、早期の受診や治療につなげられる可能性がでてきます。現在、この違いを調べる主流は、「MoCA-J」と呼ばれる文章の復唱や図形の書き写しをするテストになります。医療機関では、医師の問診やテストなどを使ってMCIの傾向を診断し、治療を促すことをしています。この検査は、患者にとっても、医師にとっても負担が大きく、検査のハードルが高いのです。課題があれば、それを克服する企業が現れます。ソニーは、嗅覚の変化でMCIの症状を捉えようとしています。認知症を発症している人の多くは、発症する前の段階か「におい」が分かりづらくなります。ここに着目して、2023年、被験者の嗅覚を測定する「におい提示装置」発売しています。嗅覚からだけでなく、視覚の面から認知機能を捉える動きもあります。大阪大学発スタートアップのアイ・ブレインサイエンス(大阪府吹田市)は、目の動きから認知機能を調べる検査プログラムを開発しています。また、塩野義製薬は、会話内容から認知症やMCIの可能性を検知するAIの臨床試験を始めました。簡便で精度の高い検査技術の発展で、早い段階での受診につながることが期待されています。先端地域は、これらの技術を使って、便利さに加えて、健康に配慮した施策も可能になるようです。
最後になりますが、新しい髪型やメイク法を考えているとき、今まで経験のないおしゃれに出会い、心ときめくときもあります。生きている限り、そしておしゃれをあきらめない限り、何回でも心ときめくときを経験します。もっとも、そんな順調な時だけではありません。筋肉が落ちたため姿勢は姿勢も悪くなるし、うつむき加減に歩くようになるときもあります。急激に筋肉が落ちて、自慢のハイヒールが履けなくなるときもあります。でも、体調が良くなり始めた頃、筋トレやウオーキングなどを開始し筋力が少しずつ戻す努力を続けていくと、顔の表情も明るくなるときがやってきます。人には、気分の高揚している時もあれば、気分の優れない時もあります。これらの状態を、現在の技術は把握することが可能になっています。情緒が把握できれば、その状態を良い方向にもっていく処方箋も準備できる環境にあります。人生100年の時代に入り、できるだけ長い生活を幸福な状態で過ごそうという方が増えています。自分は幸福だと感じている人は、仕事の生産性が30%高く、創造性は3倍にもなるといいます。幸福感の高い職場は、生産性や創造性が高くなります。同じように、幸福感の高い地域は、文化の質が高くなり、創造性の豊かな地域になります。自分の幸福の度合いが分かれば、幸福度の高い地域で働き、生活するようにすれば良いわけです。日常生括に不安がなく、環境が整っている地域は、健康や幸せを用意してくれます。自然に健康になり、気晴らしもでき、災害のリスクが回避できれば、幸福が近づいてくるわけです。高輪ゲートウェイシティ街が、そんな環境を提供してくれる地域になってほしいものです。