本来、勉強は楽しいものです  アイデア広場 その1606

 人類は、学ぶ制度を作り上げてきました。これには、他の動物も舌を巻いているようです。よく人を観察すると、学んだり、勉強することを楽しんでしているのです。本当は、勉強はとても楽しいもののようです。楽しい勉強なら、ゲームをするときと同じくらい集中している姿が見られます。知らないことを知る楽しさ、できなかったことができるようになる楽しさには、格別のものがあります。「前より伸びている」という実感こそが、「やる気」の源になります。読み書きができて語彙が増えれば、人の言葉も理解できるようになります。人の言葉も理解できるようになると、思考力がついてきます。さらに、読み書きができて語彙が増えれば、感情表現は豊かになります。ある意味、理性と感情のバランスが取れた状態になります。もっとも、「前向きにする土台ができてないところに積み上げせもダメだ」という意見もあります。 小学の低学年の子ども達は、簡単な勉強を繰り返すことでしか、土台は作れないというものです。それでは、どうすれば、その土台が作れるのでしょうか。その一つに、読書があります。100冊くらいの絵本を読破すると、その子どもの反応が向上していることがわかります。絵本でも、1冊の中で物語の起承転結がちゃんとできています。起承転結にたくさん触れると、文章構造が自然と頭に入ります。自分がすでに知っているものと、初めて知るものがつながり合ったときとても心地良いものです。それまで積み上げてきたが、つながったり、理解できたりして、突然わかるようになることがあります。勉強は曼荼羅的に広がっていくもので、何がきっかけで、この知的出会いに合えるかわかりません。理解できて突然わかるよこなることを、パラダイムチェンジと言います。たいていの場合、パラダイムチェンジを境に「次元が変わって」、ぐんぐん知的成長が見られます。パラダイムチェンジは、一生のうちに何度も訪れて人を成長させます。今回は、小学低学年の子ども達が出会えば、パッピーになるパラダイムチェンジの獲得について考えてみました。

 大人に言えることですが、簡単な勉強を繰り返すことでしか、土台はなかなか作れないものです。この簡単な勉強の繰り返しと積み重ねの経過の中には、スランプがやってきます。このスランプへの対処の仕方が、本人にとっても、支援する人にとっても大切になります。面白いことですが、高い目標を持っていない人は、スランプに陥りません。学習をしない人には、スランプが訪れないともいえます。スランプは努力している人が、目標に到達する経過における停滞といえるものです。この単純な学習で大切なことは、スランプをなくすことではなく、その期間をできるだけ短くすることになります。調子のいいときと悪いときに訪れる大きなスランプの波を、できるだけなくすことになります。努力を続けていけば、いずれスランプを乗り越えていくものと楽観的にとらえても良いものかもしれません。蛇足になりますが、スランプとの関連で出てくる言葉に、モチベーションがあります。この言葉は、「やる気」「意欲」「動機」などの意味で使われます。試験期間中に、このモチベーションが上がったり下がったりする子どもがいます。これも振幅を少なくしたほうが、良い成績を上げることができるようです。

 しっかり食べて、よく寝ることは、「続ける」ための必須条件です。幼児が夜間に10時間眠ることができないとどうなるのでしょうか。9時間30分を下回る短時間睡眠の子どもは,注意集中ができない行動特徴があります。子どもの生活が「遅寝,遅起き,ぐったり」になっている場合、問題行動を起こしても仕方がない状況が自然と出てきます。短時間睡眠で幼児期を過ごした子どもは,小学校に入ってから、授業に集中できません。「10~20分」たつと集中力を失って、キロキョロイライラしてきます。短時間睡眠の子どもはじっとしていられなくて歩き回るという行動特徴がみられます。乳幼児期の睡眠は,脳にとって大切なものなのです。睡眠は,脳を休め,疲れをとるだけでなく、記憶を整理し,定着させます。睡眠は,脳を育むことであるため,学力とは切り離せない関係になります。いくら優秀な先生でも、短時間睡眠の子には太刀打ちができないようです。

 睡眠ともう一つの要素が、便秘・快便になります。便秘のとき、子どもは学校でつらい思いをしていることが多いようです。おなかが痛くなるのは、ある程度我慢できます。でも、友達から「おならが臭い」と言われるこことは、精神的につらいことになります。便秘が、自尊心が傷つける要因になるわけです。NPO法人日本トイレ研究所の調査結果を見ると、多くの子どもが便秘で困っていることが分かります。便秘状態の子どもは、全体の16.6%にもなるようです。さらに便秘予備軍の状態にある子ども達は、20.7%にもなります。計37.3%の子ども達が、便秘気味の状態になっていることが読み取れます。便秘で身体的にも精神的にも、そして社会的にも不都合な状態で、授業を受けることになるわけです。一方、快便であれば、授業に集中できるようになって勉強もはかどることになります。6歳児で8割の子が朝食を食べていても、朝に排便があるのはわずか、3割ほどなのです。では、便秘を改善するにはどうすれば良いのでしょうか。夕食で食べた物の中で消化のよい食物の残りかすは,翌朝にはもう大腸に着いています。食物を食べると,消化の良い物で, 7~9時間ほどでうんちになります。お菓子だけでは,腸内に満ちるだの残りかすによる重さと体積がつくれません。お菓子だけでは、朝の排便に結びつかないのです。朝の胃は空っぽで、空っぽの胃に朝食が入ると,胃は食べ物が入ったことを脳に伝えます。空っぽの胃に朝食が入ると,消化吸収された残り「かす」を出すために腸が蠕動運動を始めます。蠕動運動を始め、食物残置を押し出そうとします。食物残置を押し出すときに,内に満ちるだけの残り「かす」のある方が良いのです。10時間ほど眠るとするならば,排泄の準備ができた状態になるわけです。睡眠と食事の重要性が、ここで明らかになってきます。

 さて、心身は、良い状態になりました。次にやるべきことはどんなことになるのでしょうか。人は、やる気があるからできるのではなく、やり始めるとやる気が出てくる動物のようです。目標があれば、やる気になります。この目標設定のコツは、2つです。1つは、目標を絞ることです。もう1つは、ちょっとがんばれは達成できる目標レベルにすることです。人は、目標が達成されれば嬉しいものです。やり始めて、小さな目標をクリアしていくことは、いつでも嬉しさを体験できる状況が生まれます。「やる気」は「好奇心」から生まれます。好奇心から行動を起こしその行動の結果が満足いくのであれば、好奇心がさらに広がっていきます。もっとも、以前に述べましたが、繰り返しと積み重ねという土台があって、目標に到達するわけです。土台形成の技術的な要点は、五感を使った勉強になります。音読は、「目」しか使わない黙読より内容の吸収効果が格段によいことが分かっています。音読はまた、読めない漢字、意味のわからない言葉を子ども自身が自覚することもできます。音読は「目」「耳」「ロ」の三つの器官を同時に使います。やる気を継続的に起こさせる仕組みや仕掛けを、自分なりに作っておくことも選択肢になるようです。

 余談になりますが、子どもにおける最悪の言葉は「勉強しなさい」です。さらに悪いやり方は、アメとムチになります。このアメとムチは、「やる気」の敵になります。自分で「やる気」を出せなくなってしまうこと、成果を出せなくなること、想像力が生まれなくなること、過程を軽視し、結果のみを追求するようになることなどが挙げられています。アメとムチは、外的動機になります。現在は、内的動機が重視されています。外的動機により、強制されると、急に自由な発想を広げたいという気持ちが萎えてしまう傾向が出てくるのです。保護者も先生も、「ちゃんと教えなくちゃ」、と堅苦しく考える必要はありません。勉強も間違いなくして、進歩はありえません。間違いや失敗を繰り返して、「できる」という体験を味わうことで、今までできなかったこともできるようになります。「できる」という実感を得ることは、とてつもなく重要な体験になります。そこで、「勉強しなさい」と言いそうになったとき、どうすれば良いのでしょうか。「宿題、やる気になれそう?」と質問をすれば良いのです。言い方を変えるだけで、子どもは自分の気持ちを気づかってくれていると好意的に解釈するようです。

 最後になりますが、子どもにやる気を出させるにはどうしたらよいのでしょうか。子どもに勉強させたいと思うのなら、まず親が勉強することです。子どもに勉強させたいと思うのなら、親の勉強している姿を子どもに見せることです。親が楽しんでー緒に勉強することは、子どもの勉強へ効果的影響を与えます。親が子どもに目標を与えるのではなく子どもの立てる目標を親が聞くという姿勢も必要です。親が努力の価値よりも、結果だけを求める姿勢は危険性が大きくなります達成や失敗を能力のせいにせず、計画か努力に原因があると考えて、作戦を練るのが現実的処方になります。子どもは親にほめられることで、「承認欲求」が満たされ、自信が芽生えます。前向きな親子関係の中でこそ、子どものやる気は培われていきます。このような学習環境が常に確保されていれば、こどもは次々とパラダイムチェンジを体験していくことでしょう。

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