日本で働く外国人の労働者の方が、急速に増えてきています。2023年10月末時点の厚生労働省のまとめによると、日本で働く外国人の労働者数は約205万人で、過去最多を更新しています。2022年から約23万人増えています。2020年10月末時点では、約172万人でしたので、その増加が目につきます。2018年に外国人労働者を雇用している事業所数は3万1,453でしたが、2022年は4万2,896 に増加しています。急速に少子高齢化が進み、生産年齢人口が減っているのです。そのような状況の中で、外国人労働者は日本の成長にも不可欠な存在になりつつあります。大学教授や高度な専門職、医療関係など専門的技術的分野の資格で働く外国人は、約36万人と過去最高になっています。特定技能の在留資格の人は、人手不足が深刻な介護や建設、農業や外食などの分野で働いています。宿泊業・飲食サービス業で働く方は14%になり、生活の身近な場面でも日常的に見かけるようになっています。
外国人労働者の増加に伴って、外国人を含めた異質のチームによる生産性が、注目されるようになりました。チームには、個人にはない発想や知識があります。グーグルは200近いチームを分析し、成果をあげるチームとあげないチームを調べました。それによると、チームのメンバーが優秀か、どんな人材なのかはあまり関係ないようです。チーム内に心理的安全性が確立されている場合に限り、多様性の発想や創造性が得られるというのです。チーム内に、間違いを認めたり、リスクをともなうチャレンジにも寛容さがあると、力が発揮できるというのです。チーム内のメンバーが、お互いの情報を共有することも重要な要素になるようです。外国人でも安心して発言ができて、失敗を許容できるチームが生産性を高めたということです。日本企業も、外国人の知識や経験、技術力を求めるようになりました。そのためにも、外国の方が安心して研究に従事する人的環境と物理的環境を整えることが課題になっているようです。今回は、このチーム内の心理的安全性をより高めるには、どうすれば良いのかについて考えてみました。
これからの社会において、働く人々に望まれるものは、複雑な問題解決能力、創造力、コミュニケーション能力になっています。さらに、これらの能力は、異質集団の中で高められるということもわかってきました。いわゆる異質の人材を集めたチームによる付加価値の高い生産性が、注目を集めているわけです。でも、せっかく優秀な人材を集めて編成したチームが、思うような成績を上げないケースも見られます。その中で、生産性を上げているチームは、メンバーが互いの考えを尊重する気風があることが分かっています。間違いを認めたり、リスクを冒してチャレンジしたりできる安心感が、チーム内にあるというのです。この場合ある面で、コミュニケーション環境が、整っているともいえるようです。話し合いが、すぐに通じる関係が成立していのです。相手が間違っていても、すぐに修正して、次の段階に移行できる環境が整っているともいえます。相手を陥れ、忖度を求めることもない職場とも言えます。どうすれば、このような理想のチームにすることができるのでしょうか。
ロボット開発ベンチャーのZMPは、技術者の半数以上を外国人が占めています。社内では英語が基本ですが、英語が社内公用語はなく、フランス語、中国語など互いが便利な言語を選んでコミュニケーションを自由に行っているようです。その中で働くイエラメリさんは、日本で博士号を取得しています。彼女は、いろんな会社を見たけれど、この会社が私の研究領域や技術を最も生かせる会社だったと述べています。彼女の言葉を借りるまでもなく、就職先選びの条件は、どの国の企業かではなく、能力を最も生かせる環境に重点が置かれるようです。働きがいのある企業になるには、世界の多様な人材に優秀さを認識される努力が必要になってきているようです。ちなみに、この企業に人が集まる理由の一つが、国籍に関係なく働きやすく、働き甲斐のある企業という評価になっています。この企業も日本人の割合が増えると、外国人技術者のコミュニケーションがスムーズにいかなくなることを危惧しているようです。
コミュニケーションには、複雑な要素が含んでいます。私たちにとって、他人と自分は違う人間ですから、意見が合わないケースが起きてきます。このことを前提に、コミュニケーションは、話し手と聞き手の間でのやり取りが基本になります。①、AさんとBさんの会話で、お互い意思疎通がうまくいき、お互いが納得すれば、パッピーになります。でも、②、AさんとBさんの会話で、Aさんの話す内容をBさんが間違って理解すると問題が起きます。分かりやすい事例では、先生が子どもに算数の問題を出して子どもが間違った場合、先生は子どもに間違いを指摘することになります。次の事例は、③、意図的なウソが入る場合です。Aさんが詐欺師で、Bさんを言葉巧みに騙します。Bさんは、Aさんの言葉をそのまま素直に信じてしまう場合になります。ここに、最近はやりのオレオレ詐欺が発生します。④は、「本音」と「建て前」を前提に話し合いをするケースです。Aさんは、本音と違うメッセージをBさんに発信します。Bさんも心得ていますとAさんの本音を見抜いて、笑顔で応対しているケースです。いわゆる、「狐と狸の化かし合い」を見抜いた応対になります。言葉のやり取りの中には、いくつかの理解するレベルがあります。レベルに応じた対応が。コミュニケーション能力ということになります。外国人を含むチーム内のコミュニケーションは、①と②のレベルにとどめることが求められるようです。蛇足になりますが、人は会話しているときには、目の動きや表情しぐさなどで、言語外のメッセージを伝えることがあります。言語外のメッセージを、ノンバーバル(非言語)なメッセージといいます。人は、声の抑揚や姿勢、その場の雰囲気など、言語外の情報を重視することあります。相手のノンバーバルなメジセージを読み取ることで、誤解を少なくすることができます。ノンバーバルなメッセージを読み取り、コミュニケーションにおける誤解を少なくすることが可能になります。英語によるコミュニケーション能力も大切ですが、ノンバーバル(非言語)を理解する能力も求められる時代になっているのです。このレベルの意思疎通ができれば、心理的安全性や生産性の問題は、クリアできるようになります。
優秀な外国人材の活躍なしに、グローバル競争で勝ち残れない状況が生まれています。グローバルでビジネスを展開する上で、多面的な見方を身につけることが求められています。ユニクロは、優秀な人材を採用し、その能力を生かすために、インターンシップ(就業体験)制度を導入しています。ユニクロは、世界中の学生を対象としたインターンシップを日本で実施しました。これには、22カ国・地域から51人が集まりました。この51人は、約4500人が応募し、倍率88倍の狭き門をくぐり抜けた精鋭になります。インターンでは同社の経営課題について議論し、経営幹部の前でプレゼンを披露するなど実践的な経験を積んでもらい、将来の採用につなげる狙いがあります。7月24〜28日までの5日間、中国や韓国、バングラデシュなどのアジア圏と米国、ドイツなど欧米の計22カ国・地域から51人の学生が集まったわけです。ベトナムから参加した学生は「倍率は高かったけど、ユニクロという世界的なブランドの経営を知ることができる機会を逃すわけにはいかないと思った」と応募理由を話していました。このインターンの中には、日本人も入っています。外国人がどのように考え、勉強をしているのかを体験してもらうためです。この中から採用される外国人は、わずか5名だそうです。これらの優秀な人材と円滑なコミュニケーションができる能力と環境を準備しておくことも求められるようです。
最後になりますが、失敗や反省、そして悔しさを多く経験していると、素質が開花すると言われています。新入社員を褒めれば、ポジティブになって右肩上がりに成長するという考えは間違いです。褒めることだけが良いとされた場合、失敗は挑戦として許容されます。でも、何でも褒められる場合、失敗の問題点を分析できない社員になります。失敗しても褒められるから、問題点を分析できないので、解決も改善もされなくなります。上司は、「やった」行動や挑戦した気持ちを褒めて、必要に応じて助言することが求められます。このような助言を受けて成長した社員は、失敗を力に変えたり、反省を力に変えたり、悔しさをばねできるようになります。日頃から失敗と成功の両方を経験している社員は、どんなことも自分で考えて行動ができるようになります。失敗や反省、そして悔しさの数を多く経験していれば、逆境をどう乗り越えるか分かる子どもになります。彼らには、ポジティブ感情とネガティブな感情との間を、大きく行き来きしながら成功にたどり着くという経過をたくさん経験してほしいものです。
備考、
上司から、一気に売り上げを2倍にしなさいと言う課題が出されました。一気に売り上げを2倍するという課題は、難しい問題です。でも、2倍が1.25倍の難易度に下がれば、解決が可能になります。この場合、「客単価」と「客数」と「購入頻度」をそれぞれ1.25倍にするという問題に分割できます。営業で売り込む時には、特徴、他社への優位性、顧客への利点、証拠の4点が必要です。問題を分割し、あるいは組み合わせて、試行錯誤を繰り返しながら、解決に向かう中で、成長があるようです。これをチームで行うことができれば、楽しい仕事になるかもしれません。