香りの市場を広げる工夫  アイデア広場 その1697

 アロマオイルを部屋で香らせてリラックスし、睡眠を誘導する習慣は古くからありました。ラベンダーの香りは交感神経の活動を抑え、胃の副交感神経の活動を活発化させる作用があります。このラベンダーの香りは、交感神経の活動を抑え、副交感神経の活動を活発化することは、私たち人間の心が穏やかな方向に導きます。ラベンダーの匂いを嗅ぐと、たいていの人は穏やかでリラックスした気分になるというわけです。一方、グレープフルーツの香りを嗅ぐと交感神経は活性化し、胃の副交感神経は抑制されます。グレープフルーツの香りを嗅ぐと、血液中のグリセロールの濃度と体温が上昇し、多くの人は新鮮で活動的な気分になることはご承知のとおりです。香りを上手に活用すれば、私たちを活発にすることも、リラックスさせることも可能になるようです。

 心地良さや能力を高める仕掛けが見つかれば、それをビジネスに結びつける起業家が現れます。会議は、落ち着いた雰囲気で話し合われると、議題が良い方向で進むことが経験的に知られています。会議室では落ち着きやすいアロマを使い、そしてデスクの仕事では集中しやすいアロマを使うなど、用途別に使い分ける人たちもいるようです。アウトドアのブランド店がニューヨークの店で、ヨセミテ国立公園の香りを漂わせて来店客を誘っています。大都会のお店で、ヨセミテ公園の香りを漂わせて来店客の購買意欲を高めているわけです。

 アロマ精油を扱っている多くの起業が「自然派」を謡うことで、安全性を強調しているケースがあります。自然から得た物質は安全で、人工的な物質に毒性があるという思い込みがあります。でも、動物が食べる牧草の成分も、薬効のあるものであれ毒性の強いものであれミルクに移行していきます。19世紀初頭、アメリカの中西部で、大型の多年草マルバフジバカマを食べた乳牛がいました。この草を食べた家畜のミルクを飲んだために、何千人の人々が死亡したという事件がありました。この牧草が、地中にあった毒性物質が大量に吸収したのです。自然界の植物にも、有害な物質が数多く含まれているケースもあります。

 ヨーロッパは、香りの文化を成熟させてきました。その中に、ローズオットーという香水があります。この香水は、昔の貴族が愛したバラの文化が下地にあり、歴史的価値を持つものです。ローズオットーは、ブルガリアが主産地で、値段も高価になります。この精油は、バラの花200~400本から1グラム作れるといわれています。このバラを価格から考えれば、バラの栽培が盛んなケニアやエチオピア産にも触手が動きます。品種改良したバラを、ケニアやエチオピアの農民の方に栽培してもらいます。彼らの仕事を増やし、所得を向上させるのです。安定的な生産をしてもらい、供給を確実にします。バラの生花は、毎日のように東京や大阪に運び込まれています。この流通経路の利用を拡大すれば、日本の消費者も西欧の貴族の香りを、安価に堪能することができるようになります。もっとも、日本には香道という文化があり、西欧に負けないと言う方もいるようです。

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