人類の祖先は、霊長類とされています。人類は、5000万年前の霊長類から「いのち」を伝えられました。生物学的には、ヒトも霊長目の一員であり、サル類の一種にほかならないとされます。現在の人類の先祖が地球上に現れたのはおよそ20万年前です。森の木の上で生活していた私たちの祖先は、約20万年前にアフリカで誕生し、約6万年前にアフリカから出たのです。木の上の生活は、安全が確保できました。5~7万年前に、人類(ホモサ・ピエンス)はアフリカを出て世界に拡散していったのです。人類が移動した地域には、その地方特有の環境がありました。紫外線の強い地域では、肌を守るためにメラニン色素生成能力が向上しました。また、紫外線の弱い欧米では、メラニン色素生成能力を失、白人と言われる人種になっていきました。また、疫学的に見れば、細菌やウイルスの感染経路を断つ工夫、細菌などの毒性を弱める工夫、そして主体の耐性(免疫力)を高める工夫をしながら、その環境に適応していったわけです。
ヒトのDNAを調べていくと、魚類に行き着きます。5億年ほど前、海の中で魚類を中心に動物は爆発的な進化をとげ、さまざまな姿の生きものが誕生しました。両生類は、4億年前に水辺に進出します。両生類が陸上での生活を始め、しばらくは生態系の頂点に立っていました。両生類は淡水のあるところで生活しなければならず、繁栄も長くは続きませんでした。両生類の次に繁栄したのは、爬虫類でした。爬虫類は両生類と違って、水辺から地上に進出していきます。約3億年前に紫外線や高濃度の酸素に耐える体にしながら、陸上に進出していきます。水の制約がなくなれば生活領域を広げることは容易で、地球規模で新天地を開拓していきました。爬虫類は陸の新天地に向かう途中で、歩行に適した四肢を獲得するなど進化が急速に進みました。いわゆる恐竜の時代が訪れるわけです。私たちの祖先であるある哺乳類も、約2億年前にあらわれます。でも、恐竜から狙われる立場にあったわけです。環境の変化に適応できるDNAが、人類には備わるようになったようです。
安住の地であるアフリカから、人類がアフリカからリスクの各地域に移動していきました。人類がアフリカを出てから、5~7万年になります。アフリカを出た人類は比較的少人数で5000人程度といわれています。この集団は、石器や火の使用と好奇心や想像力といった能力を地域の環境に合わせて発達させていきました。アフリカを出た人びとは、アフリカ以外の地域で著しい多様性をもたらしました。4万年前にヨーロッパに達した人類のクロマニヨン人(ホモ・サピエンス)は、ネアンデルタール人と出会い、数千年間、両者は居住圏を共有していたのです。最近のゲノム研究で、ヒトのDNAの数%はネアンデルタール人由来のものであると推定されるようになりました。現代人であるホモ・サピエンスだけが種として存続しており、そのルーツには謎が多いのです。
その謎に迫る発見が、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所によって実現しました。それは、現代人と旧人の共通祖先の化石を発見になります。その化石は、77万3000年前のものになります。この化石の特徴は、顎の先端が丸みを帯びており原人のホモ・エレクトスと近かったのです。「親知らず」が小さく退化する傾向は、欧州などに分布していたネアンデルタール人に以ています。この退化する傾向は、アジアに広がった旧人のデニソワ人やホモ・サピエンスの特徴とも似ているのです。現代人になるにつれて、歯の「親知らず」が小さく退化する傾向があります。退化する中で、ユーラシア系を代表するネアンデルタール人は数万年前に絶滅しました。一方で、私達ホモ・サピエンスは、生き残りました。人類の祖先をさかのぼり、絶滅した理由を知る化石の出現は、人類の潜在能力を知る試金石になるかもしれません。
