夏の熱帯夜を無事克服し楽しい生活を アイデア広場 その1433

 福島は、不登校になる子どもが少ない地域です。それでも、不登校が起こりやすい季節や時期があります。一般的にいわれているのが、ゴールデンウィーク開けと夏休み明けです。子ども達の自殺は、中高年に比べると非常に少ないのです。それでも、子ども達の中には、自殺をするものもいます。自殺の前段階には、生活や交友関係の乱れや不登校の徴候などが見られます。悲しいことです。この悲しいことの萌芽が、夏休み明けにふえることがあります。自殺者は、月曜日が一番多く土曜日が一番少ないことが知られています。小中学生でも不登校になったり、自殺をするのは夏休み明けの登校日ということも知られています。月曜日は、これから辛い5日間が続くと悲観してしまうのでしょう。9月1日は、これからの学校生活が大変だと考えてしまうのかもしれません。そこで、夏休み明けを元気に明るく登校するにはどうしたら良いのか、考えてみました。夏休みは、規制が少なく自由な時間や空間がほぼ保障されています。夏休み明けの学校は、自由が少なく規制の多い場所になります。夏休み明けに問題行動を取る子ども達の特徴は、学習リズムが崩れているとか、生活リズムや友達関係が乱れているとかなどが指摘されています。一方、休み明けに、元気に登校していった子ども達の特徴もあります。3度の食事を取り、日中に運動をし、夜は十分に睡眠をしていることです。今回は、夏休みの過ごし方、特に睡眠について知見を深めてみました。

 そこで、睡眠について少し調べてみました。人間は、日の出とともに活動的になり、日の入りとともに活動を低下させていくように作られています。セロトニンとメラトニンの循環が、良質な活動と睡眠を作り出しています。朝の太陽光で、網膜が自然光を感知すると、セロトニンという脳内神経伝達物質が分泌されます。セロトニンは、覚醒のホルモンで、朝分泌され、脳の働きが良くします。このセロトニンは、脳神経回路に信号を行きわたりやすくして、脳に覚醒をもたらすのです。夜はセロトニンの分泌が減り、セロトニンからメラトニンがつくられます。メラトニンは、良質な睡眠をもたらします。睡眠とは、身体が休むときに脳の活動をしっかり低下させるシステムです。良い睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に90分の周期で起こるといわれています。深いノンレム睡眠中は、子どもの成長や身体の傷の修復に関係する成長ホルモンが分泌されます。正常な成長発達に、必要なホルモンです。細菌やウイルスが身体に侵入すると防御機構が働き、ノンレム睡眠を誘発し免疫物質を作ります。眠りが免疫物質を作り、身体を防御するわけです。

 蛇足ですが、セロトニンという物質は、困難なことにぶつかっても、冷静に乗り切るメンタル状態を保ってくれます。面白い報告書があります。サルは、集団で生活をしています。集団には、上下関係が厳密に秩序づけられています。ボス猿とランクの低い猿で比べると、脳内の機能が違うことが知られています。ボス猿はセロトニンの神経伝達物質の受容体が豊富で、セロトニンの働きが活発なのです。セロトニンの働きが活発なことは、ストレスや不安を撥ねのけ敵と対決しても怖気づかないのです。ボス猿にふさわしい行動がとれるわけです。ランクの低い猿ほど、セロトニンの働きが低下しています。セロトニンは、不安をコントロールするうえで不可欠な役割を果たしています。セロトニンの働きが悪いと不安が強く、おどおどびくびくして小さくなってしまうのです。夏休みの間にセロトニンの分泌を良い睡眠の周期で確保しておけば、休み明けも安定した行動がとれることになります。

 仕事や学習のパフオーマンスを高めるには、良質な睡眠が重要な要素になります。睡眠を考える場合、セロトニンが重要な要素になります。運動量が増えると、セロトニンの分泌が促されます。セロトニンは、夜になると睡眠を促すメラトニンになります。運動がセロトニンの分泌を促し、その結果として良い睡眠をもたらす仕組みがあります。再度繰り返しますが、人間は日の出とともに活動的になり、日の入りとともに活動を低下させていくように作られています。セロトニンとメラトニンの循環が、良質な活動と睡眠を作り出しています。セロトニンは、覚醒のホルモンで、朝分泌され、脳の働きが良くなります。夜はセロトニンの分泌が減り、セロトニンからメラトニンがつくられます。メラトニンは、良質な睡眠をもたらすわけです。このことを理解した上で、早起きにシフトにすれば、この良質な循環を獲得できます。近年、機能性表示食品と睡眠の関係が強調されるようになりました。機能性表示食品を飲む場合、自分の睡眠時間や運動の特徴、そして自分の持つ腸内細菌の特徴を把握して飲むとより効果的になります。

 暑苦しい夏の夜は、寝苦しいものです。この寝苦しさが、良質な睡眠の邪魔をするのです。夏を上手に乗り切る方は、夏の暑さに負けない暑さに耐える適応力を身に付けています。この暑さに耐える適応的な変化を、暑熱順化といいます。日常的に運動をしている人の場合は、暑熱順化が成立しています。家庭の空調設備に依存しすぎれば、暑熱順化能力は低下していきます。一般に体温が高まれば、汗をだして体温を下げる機能が働きます。これは、脳や体内の核心部を冷やすために行われます。もう一つは、核心部の熱が皮膚に運ばれ、その時皮膚血管が強く拡張して、熱放散を増やすことも行われます。この汗の蒸発と血管拡張による熱放散で、人体の恒常性を保っているわけです。汗は、美容の観点から嫌われがちです。でも、適度に汗をかく、運動をして置いた方が、この寝苦しさを克服し、良質な睡眠を確保できることになります。

 睡眠に導く工夫やそのツールが、開発されています。イタリアで面白い照明が、開発されました。メタモルフォシィという照明です。この照明は、一般的な照明器具のように天井から吊すものではありません。舞台照明のように、空間全体を照らすものです。この照明は、気分や情況に応じて、部屋全体の色の微妙な調整を可能にするものなのです。特に「ドリーム」と呼ばれる空間では、使用者が眠りにつく情況に合わせて光を弱めていくのです。メタモルフォシィで作り出される空間には、リラックスや創造性などに働きかける力があるようです。ステンドグラスの伝統を持つ、イタリアならではの発案商品と評判を呼んでいます。もちろん、日本も負けてはいません。日本には視覚に訴える光ではなく、匂いに訴える香道の文化があります。香りを用いて眠りに誘う仕組みが、いくつか開発されています。どういう睡眠が良いのか悪いのかは、人それぞれによって異なります。自分の睡眠のパターンが分かるようになれば、良い睡眠を得るために、自分なりの工夫をすることになります。一般的には、ノンレム睡眠とレム睡眠を90分単位で繰り返すことが良いといわれています。創造的で生産性の高い仕事を実現するためには、質の高い睡眠が必要ということに異論はないはずです。自分に合った睡眠の傾向が分かれば、メタモルフォシィに香道の香りをプラスして、自分に適した眠りの処方を作り出すことも面白いことになります。

 最後になりますが、 朝食を食べる子どもの学力は、高いことが分かっています。子どもは、自分の行動を自身で決めていると感じれば感じるほど積極的に行動します。自立心の旺盛な子どもは、好奇心と結びついたとき学習意欲が高くなり、何でもやってみようとするようです。夏休みは、ある意味で、子どもが自由に活動できる時期でもあります。夏休みに、多くの体験ができる子は幸せです。幸せな子は、そのまま伸ばしていくことが望まれます。一方で、夏休み中盤が過ぎた頃から、保護者の方は子どもの生活リズムを注意し、大きく崩れているようであれば修正していくことになります。学校の規制や友達関係に対する耐性を、高めておくことも必要な知恵になるかもしれません。

備考、

 文科省の全国学力テストの結果が発表されました。その中で、ゲームなどのやりすぎが、学力低下につながっているとのコメントがありました。このコメントから示唆されることは、ゲームのやりすぎが、生活習慣の乱れに繋がる可能性があることのようです。対策としては、ゲームやSNSを夜遅くまでやる行動を抑制することも選択肢の1つになるかもしれません。

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