2000時間の労働と3000時間の余暇が新しい社会を実現 アイデア広場 その860

 全世界で、シェアハウスの利用が進んでいます。日本でも、この形態は、進化しつつあります。千葉県の房総では、複数人で家をシエアして借りているケースもあるようです。房総の温暖な気候を好む人は、ここのマンションを購入するようです。そして、都心のマンションを賃貸で利用する方もいます。東京のマンションを6000万円で購入すると、その月々のローンは30万くらいです。ところが、房総の家のローンと都心のマンションの賃料を足しても、25万円くらいで済むそうです。テレワークを採用している会社に勤めることができれば、こんな生活も可能になるわけです。常に旅をしながら、ゲストハウスやコミュニティの中の家などを渡り歩いて暮らす人々も生まれ始めました。全国どこでも住み放題のサブスクリプションは、多くの拠点で生活するモデルを提供しています。月額4万円で登録されている全国の家を、自分の家のように住むことができるわけです。一般の人々は家を所有した時点で、活動拠点をある程度縛られ、身軽さを失ってしまうことが常でした。世界中に「ただいま」と言える居場所をいくつも持っていることが、豊かな生き方だと考える人々も生まれ始めているようです。

 ネットで正規の仕事を安定してこなせるスキルと持つようになってから、テレワークを始めた方も多いようです。沖縄でテレワークをしても、北海道でテレワークをしてもよいことになります。もちろん、家庭をもっている人であれば「子どもの学校をどうするか」という問題も浮上してきます。家で子どもを見ながらでいいなら、テレワークで働けるという方も多いはずです。こんな希望をかなえる教育委員会も現れています。徳島県は、地方と都市の2つの学校の行き来し、双方で義務教育が受けられる制度を始めています。複数の地域で子どもを育てることができれば、多様な価値観に触れ複眼的な思考を養えます。学校教育の代わりに、自宅で教育を受ける「ホームスクーリング」の教育形式を取り入れることも可能になるでしょう。自宅学習とオルタナティブスクールに通うことで、日々学んでいる子ども達も、世界には増えているようです。

 大卒男性の生涯賃金は約2億7200万円で、大卒女性は約2億1600万円というデータがあります。1年間の総時間は、24時間×365日の計算で8760時問になります。労働時間が8時間、生理的時間が8時間、余暇が8時間という3区分があります。その区分法によると、1年間で働く労働時間は、8時間×365日+7× (7日-2日)の計算で2080時間です。逆の見方をすると、余暇時間は、約3000時聞になります。終身雇用が限界を迎えつつある中で、会社も変わろうとしています。現代社会で働く人々は、変動性、不確実性、複雑性、暖昧性の時代のなかで、変化に対応できるキャリアの蓄積が重要になります。たとえば、企業が優秀な人材とする指標は、英語と専門的知識や技術を自在に操る人達のようです。これらの専門知識や技術を社会の変動に合わせて、ビルトアップしていかなければなりません。仕事と余暇を別物だと切り離す考え方は、これからは時代遅れになるでしょう。仕事でもキャリアアップを求め、余暇でも新しい課題に挑戦をすることが求められるようです。

 優秀な金融業界の人材が、インターネット産業に流出しています。一定のオンラインに関するスキルを持てば、どこの地域でも仕事は可能になります。たとえば、福岡に居住地を構え、東京のクライアントを対象にお仕事をしている方がいます。クライアントを東京に絞っているのは、メールやネットだけで完結するからです。翻訳や執筆の仕事は、メールやネットだけで仕事が完結するというわけです。面白い仕事もあります。海外に出ていこうと考えている事業家は、外国のターゲット地域の生の声や情報の事前収集を行います。そんな要望に応えるスキマビジネスがあります。このビジネスは、新興国への移住、就職、起業などに関するリアルで最新の情報を発信しているのです。月額1155円の小口パトロンを300人限定で集め、アジア現地の情報を発信しています。現地の物価などを考慮すると、この金額で十分に豊かな生活ができるようです。在宅勤務が普及し、時間をコントロールしやすくなりました。知識や技術の蓄積は、余暇時間を利用すれば、どのようにでも高めることができる時代になっているようです。

 本業に全力投球だけで、一生安泰で、定年を迎えるという時代は終わりつつあります。

 日本の企業は個人の専門性を生かし、そのうえで幅広い知識やスキルを持つハイブリッドな働き手を求めてきました。求める企業はより一層、いろいろな経験を積んだ人を求めています。企業も、柔軟な発想を持つようになってきています。副業を通じてスキルを磨くことができれば、それが本業の仕事にも生かされるという企業もあります。キャリアの蓄積には、ビジネス資本と社会関係資本の二つがあります。ビジネス資本は、仕事で生かせるスキルや知識になります。社会関係資本は、個人同士のつながりになります。専門的な学びを深め、仲間同士で切瑳琢磨しビジネス資本と社会関係資本を増やしていくことになります。ビジネス資本と社会関係資本を掛け合わせて、唯一無二のキャリア資本を形成していくわけです。

 テレワークを上手に運用する会社が、これから数多く現れるようになります。転職が活発になるなか、「開いている」会社にいい人材が集まる傾向が強まりそうです。いい人材を集めるだけでなく、人材を育成する仕組みを作る企業も増えています。社内での人事交流を活発にさせ、副業を解禁して積極的に経験を積ませる会社もあります。そんな中で、自律的にキャリア形成できる人とできない人との間で、新たな格差が生まれる現実もあります。オンラインで、様々なスキルを学べるようになりました。個人と個人が直接つながり、全世界で需要と供給をマツチングもできるようになっています。これらの人々が、テレワークで繋がりながら、社会の課題を解決することに挑戦していくことも面白い試みです。3000時間の余暇時間を自由に使って、興味ある課題を持った人たちが、オンラインで解決策を探っていくことは、個人にとっても、企業にとっても、有用な知識や技術の蓄積に繋がります。社内だけでなく社外との多様な経験が、イノベーションを生む「種子」になることも期待できます。そんな働き方や余暇の取り方を許容する企業に勤務したいものです。

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