AIが、多くの職種に進出し、人間の仕事を奪っている現状もあります。そんな中で、AIに比較的浸食されない職種は、デザイナーや独創的な会社経営などになります。独創的な会社経営の特徴は、高度な創造性や社会的コミュニケーションを強みにしていることです。常に、彼らは新しい発想やアイデアを出し続ける頭脳を持っています。AIを排除するのではなく、企業に力を与えるAIなどで一新できる部分がないかを点検する姿勢もあります。新しい発想力や社会的コミュニケーション能力を高めた人材は、AIの利用も当然のように持ち合わせているようです。一方で、既存の職業に従事している方の中にも、AIを凌駕する方もいます。引っ越しの査定で、部屋を見回しただけで、2トン車なのか4トン車なのか、瞬時に分かるベテランがいます。これは、専門用語で箱詰め問題(ビンパッキング問題)と言われるものです。荷物を一定の空間に入れる組み合わせは、数え切れないほどあるので、AIが数百万年かけても解けない問題になります。このような難問を、瞬時に解くベテランがいるのです。引っ越しに関わる人々は、数多くいます。その中には、このようなことがいとも簡単にやってのけるベテランもいるわけです。彼らの能力の源泉は、経験が豊富なことです。早いうちから1つでも2つでも経験値を増やしていけば、理屈で考えなくも判断できるまでに感覚が磨かれていくのです。昔は、「若いうちの苦労は買ってでもせよ」と言われていました。失敗や成功の経験を重ねながら、仕事を覚えていくものです。今回は、AIが苦手とする分野、特にコミュニケーション能力について考えてみました。
私たちにとって、他人と自分は違う人間ですから、意見が合わないケースが起きてきます。コミュニケーションは、話手と聞き手の間でのやり取りが基本になります。AさんとBさんの会話で、お互い意思疎通がうまくいき、お互いが納得すれば、パッピーになります。でも、AさんとBさんの会話で、Aさんの話す内容をBさんが間違って理解すると問題が起きます。分かりやすい事例では、先生が子どもに算数の問題を出して子どもが間違った場合、先生は子どもに間違いを指摘することになります。次の事例は、意図的なウソが入る場合です。Aさんが詐欺師で、Bさんを言葉巧みに騙します。Bさんは、Aさんの言葉をそのまま素直に信じてしまう場合になります。ここに、最近はやりのオレオレ詐欺が発生します。4つ目は、「本音」と「建て前」を前提に話し合いをするケースです。Aさんは、本音と違うメッセージをBさんに発信します。Bさんも心得ていますとAさんの本音を見抜いて、笑顔で応対しているケースです。いわゆる、「狐と狸の化かし合い」を見抜いた応対になります。政治家がお金を不足しているときに、業者が補填するときなどに使われる手法かもしれません。言葉のやり取りの中には、いくつかの理解するレベルがあります。レベルに応じた対応が。コミュニケーション能力ということになるのかもしれません。
言葉によるコミュニケーションは、国際化が進む中、これからも重要なスキルになります。コミュニケーションは、話し手と聞き手の二者間でのやりとりが基本になります。この時には、注意が必要です。人は会話しているときには、目の動きや表情しぐさなどで、言語外のメッセージを伝えることがあります。言語外のメッセージを、ノンバーバル(非言語)なメッセージといいます。人は、声の抑揚や姿勢、その場の雰囲気など、言語外の情報を重視することあります。相手のノンバーバルなメジセージを読み取ることで、誤解を少なくすることができます。ノンバーバルなメッセージを読み取り、コミュニケーションにおける誤解を少なくすることが可能になります。蛇足ですが、メールでのコミュニケーションは、ノンバーバルなイメージがなくなります。そのために、メールでのコミュニケーョンは、誤解が生じるケースも出てきます。英語によるコミュニケーション能力も大切ですが、ノンバーバル(非言語)を理解する能力も求められる時代になっているのです。このノンバーバルの能力高めるツールが、注目を集めつつあります。このツールは、囲碁将棋になります。小学校を中心に、囲碁や将棋を授業に取り入れる動きが出てきました。囲碁にいそしむと、集中力が付くなどの報告もされています。でも、本当の意義はコミュニケーション能力の向上にあります。囲碁や将棋は、コミュニケーション能力を高める役割を持っていることが分かってきたのです。このゲームは、相手の「手」を予測して作戦を練る力を養います。強い子どもは、相手の顔や仕草から状況を把握し、自分に有利な展開に持ち込むことができます。相手の手や形成を読んで、優位になる手を考える訓練を囲碁将棋は日常的に行っているのです。言葉を交わさなくとも、対局で心を通わせることができます。このような訓練をしておけば、多様なコミュニケーションを咀嚼し吸収していくことができるようになります。日本流のコミュニケーション能力を高め、国際標準の知識を獲得し、世界の競争社会で活躍できる人材を育成していきたいものです。
海外の雇用形態は、ジョブ型が基本です。これからは日本も欧米のように、「ジョブ型雇用」の動きが間違いなく加速していきます。学歴や年齢よりも、どんなスキルや資格経験があるかがますます重視されるようになります。高いスキルや資格経験を活用して、現在の状況を乗り切る能力が求められます。どんなに状況が変わっても常に確実なものに目を向けられる人が、最終的には成功を収めるようです。もっとも、最初から大きな課題に挑戦しても、跳ね返されるだけに終わってしまいます。大きな課題と身近な課題の両方を狙う姿勢が好ましいようです。身近な課題を着実に完成させながら、一定の所得で生活を安定させます。生活を安定させ、大きな課題を解決する資質を高めていく過程をたどることになります。できれば、身近な課題は、将来には大きな課題に結びつくものが望ましいことは言うまでもありません。余談ですが、日本の研究者の能力の低下が指摘されるようになりました。研究者志す人たちは、自分の大きな目標や課題を持っているものです。この課題に挑戦するには、資金も時間も、そしてスキルの錬磨も必要になります。日本には、以前ほど研究に回す資金がなくなりつつあります。結果として、文科省が用意する資金をみんなで奪い合う光景が生まれました。やりたい課題よりも、研究費のつくテーマを選ぶことになるわけです。そのような、その場しのぎを経ながら、いつかは大きな課題を解決するためにスキルの錬磨にいそしんでいる研究者も多いようです。
これからの社会において、働く人々に望まれるものは、複雑な問題解決能力、創造力、コミュニケーション能力になっています。さらに、これらの能力は、異質集団の中で高められるということもわかってきました。いわゆる異質の人材を集めたチームによる付加価値の高い生産性が、注目を集めているわけです。でも、せっかく優秀な人材を集めて編成したチームが、思うような成績を上げないケースも見られます。その中で、生産性を上げているチームは、メンバーが互いの考えを尊重する気風があることが分かっています。間違いを認めたり、リスクを冒してチャレンジしたりできる安心感が、チーム内にあるというのです。この場合ある面で、コミュニケーション環境が、整っているともいえるようです。話し合いが、すぐに通じる関係が成立していのです。相手が間違っていても、すぐに修正して、次の段階に移行できる体制が出ているのです。相手を陥れ、忖度を求めることもない職場とも言えます。心理的安全性のレベルが高いチームは、生産性において高い評価を得ることが多くなります。
これからの社会は、自律系を重視する流れから、リスキングとして「考える学習」を大幅に取り入れることになります。今の世の中は、知っていることよりも調べる能力が大事になっています。体験の意味を振り返り、その意味を自分のなかで構造化し、言語化して身に付けることが求められます。子ども達を含めて大人たちも、多様な調べ方や学び方を身に付けることが評価の視点になるわけです。そして、多くのことを体験しておくことが求められます。体験の中に、なるべく性質の異なる解決方法や体験を蓄積してあることが望ましいことになります。さらに、課題を解決させることを優先させるなら、問題をひとりで抱え込まないことも大切です。課題を解決させることを最優先させるなら、周りの人の助けを借りることも必要になります。同質集団の助けだけでなく、いわゆる異質集団の助けも重要な要素になります。それは、異なる人材とのコミュニケーション能力が重要になるということでもあります。均一の才能ではなく、多様な才能を持つことで、創意工夫の幅や深さが向上していきます。社会の変化に伴い、子ども達が他者を理解する能力が今以上に求められます。人やモノやコトを最大限に活かし、新しい価値を創り出すことが、これからの学びになります。
現在日本で、人的資源が不足しています。でも、潜在的に眠っている資源は巨大なものがあります。その資源は、女性になります。女性脳は、「右脳で感じて左脳で考え言葉にする」という行為を男性脳の数十倍の効率で行います。脳は、右脳と呼ばれる右半球と、左脳と呼ばれる左半球に分かれています。左脳は、決断や判断、選択をする顕在意識と直結して言葉や数字、記号を扱う機能を司っています。右脳は、視覚・聴覚・唄覚・味覚・触覚の五感から入ってくる情報をイメージに変える機能を持ちます。左右の脳をつなぐ情報の束は「脳梁」と呼ばれ、女性 の方が男性より20%も太いのです。脳梁が太いということは、左右の脳の連係の良さにつながります。女性脳は共感能力も豊富で、感じたことをしゃべり合えばすぐにコミュニケーションが通じていくわけです。残念ながら男性脳は女性脳ほど、感じたことを言葉にすることができないのです。多様な消費者のニーズを把握する能力、それを言葉にする能力は、商品やサービスの開発や販売に重要な力を発揮します。人工知能(AI)が普及すると、事務労働がなくなると言われています。税理士や公認会計士の仕事量が減り、彼らの給料が下がっていくことが予想されます。税理士や公認会計士は、AIが下した判断に対して、倫理的な法律的な責任を追う立場になるようです。でも、AIが活躍するようになっても、デザイナーや小学校の教員、そして芸術家や映画監督などの仕事は依然として残ると言われています。AIやロボットは、他の人の意を汲みながら英知を集めて、何かをつくり上げていく仕事が苦手です。代替可能性が低い仕事の共通項は、創造性と協働性、そしてコミュニケーション能力が求められる仕事になります。これらの能力を持つ人たちが、女性なのです。女性が活躍できる環境を整備することが、これからの社会の繁栄を築くことになるようです。