お花見も花粉症もお天気アプリでハッピーです  アイデア広場 その1389

 以前は、「当たらない」ともいわれた天気予報が精度を高めてきました。この天気予報が、生活に役立つ身近な情報として信頼されるようになっています。天気予報ができるまでには、刻々変化する観測データを集めて解析し、数値予報をつくることから始まります。日本の気象庁や海外の機関が、気温や風などの観測データを集めて解析し数値予報つくるわけです。これらの貴重な天気予報情報は、テレビやインターネットなどを見れば無料で確認できます。この気象情報を基に、特定の利用者層向けの特化した課金サービスも広がっています。ゴルフや花見、花粉症や山登りなどに必要なお天気情報を、お金を払ってでもより詳しく知りたいと考える人が増えたということです。今回は、最近の気象情報の利用の仕方を見てみました。

 花粉症は、スギやヒノキなど植物の花粉が原因となって起きるアレルギー症状です。この季節にこのアレルギー症状を起こす患者さんは、全国で2000万人といわれています。花粉が大量に飛べば、外出を控える人が多くなるために、個人消費量が5600億円程度落ち込むといわれています。逆の見方をすると、花粉症は新たな成長市場となっているともいえます。このアレルギー症状を抑える国内の医薬品市場は、2000億円以上とされています。欧州でも1986 年以降、ブタクサの花粉の飛散が大幅に拡大しています。この花粉によるアレルギー性鼻炎の世界市場は1兆6600億円以上になっているともいわれています。花粉症に関するお天気情報とその症状を軽減するサービスを提供できれば、一つのビジネスとして成立するわけです。

 精度の高い天気予報が、個人のレベルでもビジネスのレベルでも求められるようになりました。このニーズに応えるように、天気予報を提供するアプリも出てきています。これらのアプリでは、無料も含めたアプリのダウンロード数が2020年以降特に伸び続けて4200万件に達しています。これらのサイトの決算資料を見ると、有料会員を中心としたサブスクリプション売上高が四半期に12億円ほどとなっています。これを単純に月300円で計算すると、110万人超が有料会員と推測できます。お金を払ってでも、より詳しく知りたいと考える人が110万人もいる理由は、予報精度の向上が実感できるようになったことにあるようです。月300円で、毎日10円で、生活や健康、そして趣味に生かせるメリットがあると考える人たちがいるわけです。約300円という設定には、頭痛外来の受診は初診料などを除き1回700円程度からという理由もあるようです。1回700円よりは手ごろで、毎日の健康管理に役立たせることができるというわけです。誰でも持っているスマホの位置情報の活用で、個人により適した情報も得やすくなった環境も味方しています。

 便利な有料アプリでは、予報の期間を長くしたり、体調や服薬の記録を月ごとに集計する機能が付いています。気圧の変化を、敏感に感じる人がいます。これらの人達は、低気圧がやってきたとき、膝の嫌みや関節の痛み、そして血圧が不安定になります。これらの人達に、気圧変化を事前に知らせ、症状を軽減する具体的な行動につなげやすい形での情報を提供することになります。さらに、紫外線や花粉などの予測を配信し、具体的な行動につなげやすい形でのお知らせをしています。面白いアプリに、ベルシステム24 (東京・港) が提供する「頭痛ーる」があります。これは、月300円の有料プランになるようです。「頭痛ーる」は、気圧の変化で頭痛などの体の不調が起きやすい人に向けになります。気圧の上下の予報を、グラフで示してくれます。不調が起こりやすいタイミングに、「警戒」や「注意」などを表示しています。他のアプリにも、花粉症の悩みや気圧変化による頭痛など行動や体調が天気に左右される人へのサービスもあります。体調や服薬の状況を記録しておくこともでき、自分の傾向を把握し、対策を立てやすくなるメリットがあります。これからも、花粉症の悩みや気圧変化による頭痛など、有料サービスのニーズはさらに増える傾向があるようです。

 人は、気温が15℃以下の場合、外出を控え、屋内で過ごす人が増えます。15℃を超えると、低温による羅患のリスクが低くなるために、屋外に出て活発に活動するようになります。この15℃を超えるころが、花粉症の季節でもあるわけです。花粉症に子どものころから悩んでいる方の場合、発症を抑える対策と症状を軽減する術を心得ているものです。この15℃を、学校の中間試験になったという気持ちで受け止める方もいるようです。テスト勉強のように、1ヶ月ぐらい前から、緑黄野菜やその加工食品、そしてヨーグルトなどの発酵食品を摂るようになります。これらの食品は、花粉症の発症を抑える物質を体内で作ること支援します。花粉症を抑える免疫力を、ニンジンやほうれん草を摂取することで高めるわけです。免疫は、すぐにはできません。1ヶ月ぐらいの余裕を持って、体の準備を整えておくわけです。本番の季節になれば、マスクやメガネ、そして目薬などを携帯し、万全を期することになります。これらの準備は、お天気アプリによって仕込んでおくことになります。この症状に悩む人達は、飛散が始まる前から対策を立てています。天気予報で、飛散の時期が発表されます。この発表で注意すべき点は、1月中旬の発表される1ヶ月予報になります。花粉が多いとか少ないとかの情報を把握した場合、2つの対策を立てていきます。花粉症の発症を抑える対策と、症状を緩和させる対策になります。

 お天気による痛みやかゆみの軽減だけでは、楽しい生活はおくれません。趣味の世界でも、このアプリは活躍しています。天気予報サービスでは、自分の趣味に関する精細な有料情報を求める利用者が増えています。花見やゴルフ、そして運動会などのお天気情報は、必要なものになります。アウトドアを楽しむという観点からも、お天気予報の役割は重要です。最近は、登山に特化したアプリもあります。もちろん、このアプリは有料で提供されています。ある40歳代の男性は、年間15回以上登山します。「山ごとの天気を見てどこに登ろうか考えることが多いので、前日によく確認する」と楽しそうに話します。このアプリは、麓までしかわからない通常の天気予報に対し、山頂までの天気が詳細にわかります。登山に特化した「登山天気」は、服装や紫外線情報も伝えます。山を楽しむと同時に、安全にも配慮できる山のアプリは、山男や山ガールに必需品になるかもしれません。以前、登山は若者の命がけの遊びでした。日本で最も厳しい登山は、冬の北アルプスと言われています。北アルプスは厳冬期、悪天に陥ると1週間から10日間吹雪くことが続きます。この間、若者は命をかけながら登山という遊びをするわけです。10日間の吹雪に耐えられる装備と訓練をした者だけが、入ることができた世界でした。登山の事故は、自己責任が世界の常識です。ここでは、想定外の吹雪でしたという言い訳が通用しない世界でもあります。

 最後に、桜前線とビジネスの可能性について考えてみました。東京の場合、桜が開花する3月下旬から4月上旬までの平年の最高気温は、14~17℃になります。この最高気温より高い場合、満開までの期間は短くなります。反対にこれより低ければ、満開までの期間が長くなります。つまり寒ければ、桜見物に来る人々は途絶えることなく、長い期間にわたってビジネスが成立することになります。高温になれば、桜見の期間は、短くなり、売上げは減ることになります。寒いときの花見において売れ筋の商品は、おでん・揚げ物、焼酎・日本酒、そして肉まん・あんまんなどです。反対に温かいときは、焼き肉・寿司、ビール・発泡酒、そして漬け物・清涼飲料水などになります。これらを精度の高い天気予報に合わせて、仕入れておけば良いことになります。それらの食材を仕入れ、店舗の開設、バイトの確保など短期間で集中的に仕事を行うことになります。上手くいけば、短期間で多くの収入を得ることができます。ここで難しい点は、天気予報なのです。春の天気予報は、精度が低いと言われていました。この時期は、三寒四温とか春一番とかが突然やってきます。3月から4月にかけての天候は、予測が難しいといえます。もちろん、予想が的中すれば、短期間で通常より多くの利益を獲得できます。満開の桜を見ながら、心も懐も豊かになるわけです。幸運なことに、心を豊かにすることを助けるお天気アプリが登場することになりました。上手に、利用していきたいものです。

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