ビットコインは、すでに巨大なシステムに育ち、利用者も世界に広がっています。初期にビットコインを手にして寝かせておいた人の中には、お金持ちになっている人も多いとされてきました。ビットコイン市場が拡大する限りにおいて、富を増やしていくことができるとされてきました。でも、ここにきて異変が起きています。ビットコイン価格は2025年10月に12万6000ドル台の最高値を付けて以降、現在はその半値の6~7万ドル前後で推移しています。この懸念の要因には、原油の高騰が長期化を心配する向きがあります。ビットコインの採掘事業には、大量の電力を使います。原油が高騰し、電気代が上昇すれば、採掘企業の撤退や事業縮小の動きが進む可能性が出てきています。その動きが、採掘企業に現れています。採掘企業は、投資資金を確保するため、保有する仮想通貨の売却に動いているのです。MARA Holdings, Inc.は、アメリカの暗号資産(仮想通貨)マイニング大手企業になります。この企業は、2026年3月、運営資金を賄うためにビットコインを継続的に売却すると発表しました。MARAは、従来は長期保有を掲げており、今年になり方針を転換することにしたようです。持っていれば、豊かになるビットコインをなぜ手放すようになったのかを調べてみました。
暗号資産の企業がビットコイン(暗号資産)を現金に換えて、何をしようとしているのでしょうか。暗号資産の企業が、AI向けのデータセンター事業に参入する動きが相次いでいます。多くの仮想通貨採掘企業が、AIインフラ事業へのシフトを進めているのです。採掘企業のAI関連事業(データセンター事業)は、もはや副業でなく、成長の大部分を支えるだろうと予測する専門家もいます。資本家も、採掘企業が成長分野へ進出するシフトを評価しています。コア・サイエンティフィックは、ブロックチェーンおよび人工知能インフラ、デジタル資産のセルフマイニング、マネージドホスティング、技術サポートの各種サービスを提供する企業になります。この企業は、仮想通貨のマイニング(採掘)を中核に据えて手掛けていました。でも、採掘事業を縮小し、AI向けデータセンター事業への投資を進めています。投資資金を、モルガン・チェースとモルガン・スタンレーからから計10億ドル(約1600億円)の融資枠を確保しています。新しいデータセンター事業も順調で、2026年12月期にもAI関連の売上高がマイニング(採掘)を上回る見通しになっています。AI向けデータセンター事業の売上高が、2026年12月期に前期比7.5倍の4.9億ドルになるとの予測です。他にも採掘企業の中には、オーストラリアに拠点を置くIRENや米国のサイファー・デジタルなどがAI向けデータセンター事業に進出しています。
ビットコインの使用するブロックチェーンは、マイニングという不思議なしくみを持っています。この暗号資産は、マイニングと呼ぶ大量のコンピュータを使う膨大な計算作業が欠かせないのです。利用者は、マイニングに協力して成功すると、ビットコインがもらえる仕組みになっています。マイニングとは、一定の間隔でデータブロックを作り続けることです。このマイニングのために、世界の各所で膨大な量の計算が行われることになります。計算が行われ続けるためには、コンピュータを稼働させたり冷やしたりするための電力が消費されることになるのです。ビットコインのシステムが維持されていくためには、多くの電力が消費されていくことを意味します。これが、環境問題に携わる関係者から批判を浴びる要因になってきています。たとえば、日本の年間電力消費量は、約900TWhになります。それに対して、ビットコインマイニングによる消費量は約138〜171TWhとされています。採掘企業はビットコインの取引を記録するために膨大な計算をします。計算によって、C P Uに負荷をかければ、電力消費量が増えていきます。C PUの冷却にも、多くの電力が使われることになってきました。C PUは、負荷をかけると発熱します。C PUは発熟するのですが、熱には弱い構造になっています。採掘企業は、電力が安価に入手できる国や地域に拠点を移す傾向にあります。通常のシステムであれば、発案者や運営者が構築コスト、そして電力消費維持コストを負担し続けることになります。でも、ビットコインの方式は、採掘企業がボランティアで電力を供給し続けているのです。発案者にとって、今のシステムは夢のような成功物語になっていました。その夢が、崩れるかもしれません。
ブロックチェーンは、データベースになります。この仕組みは、情報を持つブロックが鎖(チェーン)のように連なっているものです。このデータベースは、分散型データベースであり、非中央集権型であり、書き込み専用であり、改ざんが困難という特質があります。この特質が、ブロックチェーンの優位性を示しているのです。分散型データベースのデータは、各サーバが分散して持っています。その中でも、ブロックチェーンは、過去のデータがすべて数珠つなぎになったものが流通し続けているのです。このチェーンが、ビットコインを構成している基盤技術になります。たとえば、2018年段階で。ビットコインのブロックチェーンのデータ量は100GBを超えており、2022年11月時点で約435GB(ギガバイト)を超えていました。現在は、これより巨大になりスマホ程度では保存できないデータ量になっています。蛇足になりますが、なぜ、これほど電気を使うビットコインがもてはやされるようになったのでしょうか。現在のネットの社会では、デジタルデータの盗み読みのリスクを完全に除去することが難しい状況にあります。それでも、情報を守る対策と取らなければなりません。現在は、RSAの暗号を使うことが一般的です。このRSAの暗号は、「大きな数の素因数分解が困難である」という事を基礎にして作られています。現時点では、この暗号の最終的な目的は時間稼ぎになります。攻撃者が暗号の解読にまごついている間に、取引を成立させてしまうというやり方です。この暗号に対して、ビットコインなどに使われているブロックチェーンは、攻撃者が本当にわからない暗号ということになっています。このブロックチェーンのデータベースは、改ざんが困難という特質があります。この改ざんが困難という特質が、ビットコインの優位性になっていたわけです。
持っていれば、価値が大きくなると言われていたビットコインにも、暗い影が忍び寄ってきています。その陰の一つが、量子コンピュータになります。量子コンピュータによって暗号を解読される脅威がじわりと忍び寄っているともいわれています。量子コンピュータが暗号を解読してしまい、ブロックチェーンによる分散システムの信頼性が崩れる恐れもあるというのです。ビットコインの約25% は、このコンピュータの脅威さらされています。量子コンピュータが開発されれば、取引の暗号が解読されて取引が妨害される恐れもでてきます。ビットコインの約25%は、量子コンピュータを操るハッカーに盗まれてしまう可能性があるとも言われるようになりました。ブロックチェーン各社は、高性能量子コンピュータの進化に戦々恐々とし続けることになりそうだと一部の専門家は述べています。その現われが、暗号解読のニュースが飛び交うと、この株価は上下することに見られます。もう一つの要素が、ビットコインの電力消費量になります。2020年頃は、中国がビットコインのマイニングの主要国でした。この当時、アメリカの経済制裁で低成長を余儀なくされているイラン政府は、採掘を産業として認めてきました。イランには化石燃料が多く、安価で豊富な電力供給が供給できる優位性がありました。1kwhの電力料金はイランが0.005ドル、ロシアが0.063ドルと中国0.085ドルです。この安い電力料金を目指して、中国の採掘者がイランに押し寄せる流れが出来ました。もちろん、イラン国内でも採掘業者が多く生まれたのです。採掘が、貴重な外貨を生み出す産業になりました。でも、困ったことも起きました。イランは採掘を奨励した結果、電力消費が急増し国内の主要都市で停電が頻発する事態になりました。やむなく、夏季の電力需要ピーク期にはマイニング秋まで禁止する処置をとりました。
余談になりますが、採掘企業によるビットコイン売却は、仮想通貨の相場に暗い影を投げかけています。トランプ政権のイラン攻撃による原油不足、そしてそれに伴う原油の高騰から、マイニングに使う電気が不足しつつあります。そこで、採掘企業は、AI向けデータセンターに舵を切り始めました。採掘施設とAI向けデータセンターの特徴には、類似点があります。共に大量の電力を使い、大量の熱を逃がすためのスペースを確保する建物になります。データセンター向けの計算装置に入れ替えられれば、最初から建設するよりも早く稼働できるようになります。データセンター需要は拡大する見通しであり、その利益はマイニングより大きいものがあります。オープンAIやアンソロピックのようなAI開発企業は、計算容量の確保を急いでいます。その流れを受けて、マイニングの工場がデータセンターに衣替えするかもしれません。新しい事業に投資するためにも、採掘事業者もつ仮想通貨の換金売りがすすんでいます。結果として、ビットコインの価値は停滞する状況が続くことになります。
最後は、ビットコインの勢いを後押しするアイデアの提供になります。乱立する仮想通貨では、消費電力が市場の評価を分ける決め手になるかもしれません。環境重視の流れが続く限り、電力を湯水のように使う道具は淘汰されていきます。これへの処方箋は、イーロンマスク氏などが、提唱する宇宙空間における太陽光発電です。マイニングやAIの性能は、電力の消費量に比例するとまで言われています。両者は、電力の大量消費者になっています。この大量の電力を、太陽光が途切れることのない宇宙空間でつくればよいという発想です。すでに安価な人工衛星は、実用化されています。太陽光を遮り、遮った太陽光で発電する発想も現実味を帯びてきています。もう一つの処方箋は、量子コンピュータ対策になります。アメリカのスタートアップは、量子コンピュータに耐性のあるブロックチェーン技術の開発に取り組んでいます。高性能量子コンピュータに負けない技術改良を行っているわけです。改良版向けの耐性量子コンピュータ対策には、量子耐性台帳と呼ぶブロックチェーン方式が開発されつつあるようです。量子コンピュータから情報を守り続け、電力消費量を確保するブロックチェーンのシステムが、これからの世界では生き残るようです。
