日韓の協力で石油問題を解決する アイデア広場 その1756

 少し前のお話しになりますが、2022年の夏には、関東地区で電力不足から、ブラックアウトの危機が放送で流れていました。日本の電力事情は、原発の稼働がほぼ止まり、ぎりぎりの状況でやりくりしている姿が浮かんできていました。現在、日本の総発電設備容量は、約3億1300万kW(313GW)程度になるようです。です。その中で、火力発電(約68%)になります。火力発電に使われる燃料は、 LNG、石炭、石油等になります。この燃料の輸入が、ホルムズ海峡の閉鎖で危ぶまれていいます。2022年より、危機感が高まっています。日本は、原発を使うことができずに、火力発電に頼る現実があります。その火力発電に必要な化石燃料の輸入価格が、高騰しているだけなく、購入が困難になっているのです。身近な東京電力管内でも、今年の夏や冬の電力需給逼迫が懸念されています。当時の経済産業省は、非常時に求める節電量を50万kw(20億キロワット時)に引き上げることを求めていました。2022年は、何とかこの危機を乗り切りました。でも、今回は国際紛争(米国、イスラエル、イラン)という難しい問題を含んでいます。

 不足を乗り切るヒントは、江戸時代の工夫にあります。この時代は、3000万人の人口を自国内の資源だけで養ってきました。江戸時代は、森や田畑を中心に、人々の生活や経済を支えてきたわけです。たとえば、燃料に関しては、森の再生産能力を上手に利用してきました。里山での薪炭材の採取は、20年前後の間隔で樹木の伐採が行われていました。樹木の伐採後の切り株からは、翌春に萌芽(ひこばえ) が発生し成長しました。萌芽が発生し、成長し、また20年ほどのちに同じような木材を得られたわけです。森林バイオマスは、生物体になります。生物は、再生の営みによって何度でも再生が可能です。ある意味で、森林のバイオマスは、生物体そのものであるから理屈上はその利用可能量は無限大になるわけです。江戸時代における人口の増加やその発展は、基本的に国内の資源のみによって成し遂げられたともいえます。森林バイオマスは、石油や石炭、ウラン鉱石のように枯渇性資源ではありません。資源の持続性を考えると、人間が消費して良い量を限定すれば、無限使うことが可能になるわけです。江戸時代の人々は、それを200年間以上にわたって行ってきたともいえます。もっとも、現代人は電化生活に慣れ、ネット環境を享受しています。昔に戻れと言われても、すぐには適応できない情況もあります。

 地球上の最初の生命は、約35億年から40億年前に誕生したと考えられています。その誕生から、現在、生きている生物は1%と言われています。現在生きている生物は、約3000万種とされますので、99%の30億種が絶滅したことになります。現存する生物の99%は、絶滅してしまいました。その99%の中には、遺伝子が環境適応に失敗して滅んでいった種もあるのです。ある意味、現在の生物種は、幸運にも環境に適応できた貴重な種といえるのです。どのように、環境に適応したのでしょうか。新しい植物が誕生すると、昆虫の中にはその花のみつを好んで吸う新しい種が出現します。すると、新しい種の昆虫を好んで捕食する小動物の新しい種がでてきます。新しい種の小動物は、蜘蛛やヤモリの新しい種ということができます。さらに、その小動物を獲物とする肉食動物の新しい種が出現します。新たに現れた小動物を獲物するタカやワニなどの肉食動物が、新しい種として出てくることになります。食物連射の構造が、できあがるわけです。もし、一種対一種の関係が崩れ、植物か昆虫のどちらかがいなくなったら、どちらも絶滅する危機を迎えることになります。ある特定の食物連射の構造が崩れ、多くの種が絶滅していくわけです。この関係は、現代の企業にも言えるようです。アマゾンやグーグルを、特定の食物連鎖の構造を形成していると考える専門家もいます。アマゾンやグーグルの基底部に異変が出てくると、現在のネット通販やネットサービスが、壊滅的な打撃を受けることになります。食物連射の頂点にいる企業が、まず転げ落ちることになります。

 生物は、生きて子孫を残すために、厳しい選択をしなければならないこともあります。もちろん、このことは世界で戦っている企業にも言えることでしょう。生物は、紫外線や高濃度二酸化炭素の厳しい環境、そして天敵との戦いを克服してきました。その事例を、コウロギに見てみました。コオロギは、好ましい声でメスをなんとか口説こうとします。メスがこの声を受け入れれば、無事に健全な子孫を残せることになります。でも、この声を聞いているのは、コオロギのメスだけではないのです。ヤドリバエ科の寄生バエは、コオロギの鳴き声を聞くことができます。この寄生バエのメスは、幼虫を育てるための宿主としてコオロギを利用します。このハエは、鳴いている雄のコオロギの上に舞い降りて、寄生バエの幼虫をオスのコオロギの体内に穿孔するのです。寄生バエの幼虫は、まずコオロギが鳴くために使っている翅をすり合わせる筋肉を食べ始めます。この部分の筋肉が食べられると、コオロギは鳴くことができなくなります。声が出なくなれば、他のヤドリバエは、このコオロギにはやってこないことになります。幼虫は、安心してコオロギの中で成長できるわけです。最終的には、コオロギを殺してしまいます。その後、成虫として外界に進出することになります。この地域のコオロギは、このハエに苦しめられました。仲間が、次々に犠牲になっていったのです。コオロギへのヤドリバエの寄生率があまりにも高くなった頃、コオロギが、幼虫の寄生を阻止する適応行動を取り始めたのです。オスのコオロギが、鳴かなくなったのです。鳴かないコオロギには、ヤドリバエ類が寄生できません。コオロギが鳴かなくなった突然変異は、翅の形状を変え、音が出ないようにしたものでした。このコオロギは、寄生を阻止するための究極的な適応をしたわけです。オスのコオロギは鳴くことができず、交尾したければ、通りがかりの雌を捕まえるしかない状態になったそうです。危機に直面すると、生物はその対処法を作り出していきます。できない生物は、99%の絶滅種になっていくわけです。

 お話は、石油危機のテーマに戻ります。日本の経済と韓国の経済には、アキレス腱があります。それは、化石燃料が自給できない点です。エネルギーを輸入に頼る体質は、日本も韓国も共に持つ弱点になっているわけです。もし、このアキレス腱が解消されれば、よりスムーズに経済の成長が保障されます。日本は、LNG(液化天然ガス)を97%以上、石油を99%以上、石炭を99%以上輸入しています。資源に乏しいと、ほとんどの日本人認識をしています。でも、日本には、一気に中東並みの産油国になれるだけの石油資源が眠っているのです。この中東並の超巨大海底油田があるのは、「第7鉱区」と呼ばれる場所になります。「第7鉱区」は、沖縄県の北、九州南西の東シナ海にある海底油田です。第7鉱区の原油埋蔵量は、1000億バレルと推定されています。1000億バレルは。世界第2位のサウジアラビアの3分の1に相当する埋蔵量です。さらに驚くべきことは、第7鉱区のある大陸棚全体で天然ガスの埋蔵量は、約175兆~210兆立方フィートになります。この175兆~210兆立方フィートは、サウジアラビアの10倍の埋蔵量なのです。ここが開発されれば、日本は石油輸入国から輸出国になることも夢ではありません。日本の海には、サウジアラビえる超巨大海底油田があるというわけです。もし、この石油資源が利用可能になれば、日本の石油問題や電力不足の問題は、解決に向かうことになります。

 最後は、日本と韓国が協力すれば、石油の問題は解決に向かうというお話になります。7鉱区には、領有権を絡む日本と韓国の確執があります。1970年1月、当時の韓国の朴正照大統領は突然第7鉱区の領有を宣言しました。当時は、海の境界線が国と国の等距離の中間線ではありませんでした。海の境界線はなく、領土の自然な延長である海底の大陸棚を根拠としていたのです。大陸棚が境界線とされた場合、韓国は第7鉱区をほとんど独り占めできたのです。この境界線説は、1969年に国際司法裁判所により下された北海大陸棚事件の判決が基準になっていたのです。朴正照大統領は、この基準により領有を宣言したわけです。この宣言は海底の大陸棚説を根拠としていたため、日本側は不利な立場に追い込まれました。でも、当時の韓国には単独で油田を開発できるような技術がありませんでした。国際社会でも韓国側の主張が有利とされる中、日本は韓国に対し共同開発を提案したのです。日本は韓国に経済援助を行っていたため、経済援助の停止など外交カードを使ったようです。結果、韓国側が日本の提案に乗り、1978年に日韓大陸棚協定を締結しました。

 日本側は、協定を締結した後の1980年代に「採算がとれない」との理由で、開発を中断しています。協定を締結した後の1980年代から、現在まで進展はありません。なぜ、この7鉱区の原油の採掘が、すぐに始まらないのでしょうか。理由は、2つあるようです。2000年代になれば、海底石油開発の技術は、日韓の会社も保有するようになってきました。でも、原油の採掘はすぐに始まらない理由は、韓国との協定があるためです。韓国が独自開発する技術はあるようですが、日本側が動かないため何もできないのです。日韓大陸棚協定により、第7鉱区の単独開発はできないという制約があるのです。もう一つは、日本側へ有利な風が吹いているからです。日本への追い風は、1985年のリビア・マルタ大陸棚事件になります。リビア・マルタ大陸棚事件を契機として、新たな国際基準できました。大陸棚自然延長説が古いものとなり、等距離の中間線が世界標準となりました。向かい合う2国間においては海の境界線は中間線を根拠とすることが国際基準となったのです。新世界標準によると、50年の協定期間満了後には第7鉱区は日本のものとなります。協定期間満了後(2028年)には第7鉱区はほぼすべての領域が日本のものとなるわけです。協定期間満了後には、第7鉱区が日本のものとなるため、日本政府は現在も動いていないという説があります。韓国は「日本に資源を独り占めされる」と、日本側のやり方に反発しています。争いになれば、物事は前に進みません。1978年に日韓大陸棚協定に基づいて、両国が協力して第7鉱区の開発を行うことが道義的にも望ましいようです。資金も技術もある両国が、知恵と工夫を出し合えば、世界有数の産油国になることも夢ではないのです。日韓が、石油でも、レアアースでも、半導体でも、協力すれば、お互いが豊かな国になれる道は開かれているのです。99%の生物が、滅んでいきました。日本と韓国は、生き残る1%になりたいものです。

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