時代は、モノからコトへのシフトへ進んできました。みました。さらに、新たな局面を迎えています。それは、その瞬間を楽しむ「トキ」の消費になり、社会的意義ややりがいを求める「イミ」の消費を謳歌するようになっているのです。「トキ」に価値を置く消費や社会的意義、そしてやりがいを求める「イミ」の消費など、消費は多様化しています。今の若い世代は、トキやイミを核にして自分時間を楽しむライフスタイルもあるようです。他者と比べず、「自分の好きな時間」をエンジョイしている姿が目につきます。その楽しむ姿に一人で楽しむ筋肉トレーニング(筋トレ)や動画視聴などもあるようです。今回は、この筋トレとプラスアルファを行うことで、楽しい生活を送ることを考えてみました。蛇足になりますが、筋力をつけるには、強い負荷(筋力トレーニングなど)をかけることが必要です。筋肉に強い負荷をかけると、筋繊維は微細な損傷を受けます。そして、この損傷を再生する能力が人間にはあります。この「破壊と修復(超回復)」のサイクルを繰り返すことで、元の筋繊維よりも太くて強い筋肉へと成長していきます。そして、この修復には、タンパク質が必要になります。トレーニングをするだけでは、筋力は尽きません。
筋トレ好きな若者が食生活で重視するのは、たんぱく質の摂取になります。一般に、成人のたんぱく質摂取量は、1日につき、男性65グラム、女性50グラムが推奨されています。筋トレ好きな若者は、自分の体重の2倍のグラム数を摂取することが望ましいとされています。たんぱく質を望む人がいれば、それをかなえる「モノ」があります。その一つが、ダノンジャパンのプロテイン飲料「オイコス」になります。今年3月に発売された飲料タイプのオイコスの販売本数は、1.8倍以上も伸びました。このオイコスは、高吸収たんぱく質25グラムをアピールしています。25グラムの「オイコス」は約300円で、18グラムのタプより50円も高い飲み物です。面白いことですが、コンビニへ行くと、なぜか値段が高いオイコスから品切れになっているのです。品切れになる理由は、高吸収タンパク質の含有量多いものを消費者が求めているからです。実は、発売元のダノンジャパンでも、ここまで売れるとは思わなかったようです。ダノンジャパンの工場も、フル稼働状態になったと嬉しい悲鳴を上げています。
値段が高くとも、消費者のニーズに合えば、高く売れるようになります。その事例が、米国や欧州で、富裕層の中で利用が広がっている肥満症薬の「GLP-1受容体作動薬」になります。ノボノルディスクの「ウゴービ」を使用している女性は、医師の処方を受け注射薬を使い始めると食欲が減退し、速いペースで20kg近く痩せました。「昔着ていた服が着られるようになってうれしい」と喜びをあらわにしています。米国での治療費は月1000ドル(15万円)以上になります。この薬の効能は、食欲を抑え満腹感を感じやすくすることで体重減につなげるものです。ここで問題になるのは、GLP-Iの服用中が栄養失調や筋肉量減少を持たさすリスクが生じることです。専門家は、GLP-Iのユーザーに、筋肉量を維持するために、たんぱく質摂取を推奨しています。その量は、1回の食事につき20~30グラムのたんぱく質になります。この知見を知った新興企業が、減量薬ユーザーをターゲットとしたアイスクリーム開発しました。一般的なアイスクリームに含まれるたんぱく質が100グラムあたり3~4グラムになります。この企業のアイスは、約7グラムと 2倍近く摂取できるように作られています。このアイスは砂糖無添加で、たんぱく質が多く含まれているのです。もちろん、売れ行きは好調で、チョコレートやキャラメル風味など4種類のアイスを発売しています
2024年に18グラムタイプのオイコスを発売したときから「20グラムは欲しい」との声が出ていました。もっともプロテインを増やすとたんぱく質特有の臭みが強まり飲みやすさも薄れるというデメリットが生まれます。プロテインを多めに入れると、臭みや粉っぽさが強くなり、おいしさを損なうわけです。もちろん壁があれば、それを取り除く工夫をします。製法に工夫を重ねて、さっぱりとした昧に仕上がり,ヒットにつながったというわけです。さらに、ストローにも工夫を鍬ました。25グラムのタイプのストローは、18グラムタイプより太くし、飲みやすくしたのです。たんぱく質のニーズは、飲み物の商品だけではありません。カレーの分野にも波及しています。カレー研究会は、管理栄養士や栄養士の資格を持つメンバーを中心に活動しています。カレー研究会は、おいしさと健康を追求した新ブランドで、プロテインカレーも1つになります。ハウス食品は、6月、「カレー研究会 プロテインカレー」を米アマゾン専用商品として投入しました。このカレーは、配合を細かく調整して、約1年かけてプロテインカレーとして完成させたものです。ルーを見直したり。スパイスや香辛料、しょうゆなどの配合を細かく調整しました。税別の希望小売価格は、599円と通常のレトルトカレーに比べ2~3倍の値段になります。でも「1食で30グラム摂取できるとありがたい」という声が多かったのです。確かに、筋トレ好きの若者にとって、1回で30グラムを摂取できる食品は貴重なものでしょう。物価高に伴う節約志向は強まっていても、筋肉のためなら値段の高さをいとわない消費者はいるわけです。プロテインやたんぱく質は価格ではなく効能といった付加価値で競える分野になるようです。
余談になりますが、健康を促進する対策として、筋肉の評価が高まっています。筋肉が分泌するホルモンの中には、認知症やガンを予防することに効果が認められています。今までは、経験則的に認知症を防ぐために、あるいは発症を遅らせるためには、運動が良いと言われてきました。これが、実証されつつあるのです。マイオカインには、認知症以外の病気を抑え込む効果もあることが明らかになってきています。イリシンというマイオカインは、筋肉から分泌された後、血流に乗って脳に到達します。イリシンが脳に到達すると、脳の中でBDNFという物質が多く分泌されます。BDNFは、Brain Derived Neurotrophic Factor(脳由来の神経栄養因子)のことになります。このBDNFという物質が多く分泌されると、情報伝達に役立つ神経細胞が作られるのです。結果として、この物質が多く分泌されると、脳の機能が高まることが分かってきました。逆に、筋肉が萎縮すると脳の機能が低下することも分かってきました。萎縮した筋肉は、”マイオカインのうち、脳にプラスに働くホルモンが分泌されにくくなるのです。さらに、萎縮した筋肉は、認知機能が低下する方向に働きかけるホルモンを分泌するようになります。萎縮した筋肉は、認知機能が低下する方向に働きかけるホルモン(へモペキシン) を分泌するようになります。このヘモペキシンは海馬に働きかけ、認知症の発症を促進する働きさえするようになるようです。筋トレをし、たんぱく質を取ることは、老若男女とも望ましいことのようです。
最後になりますが、現代はトキとイミの両方を同時に楽しむこともトレンドのようです。最初の若者には、筋トレや動画視聴を楽しむ姿がありました。筋トレと落語を同時に楽しみ、健康を向上することも可能です。近年、笑いが健康の維持増進や活動力の向上に貢献することが明らかになってきました。もし、運動と笑いが融合するようなサービスが生まれれば、より健康に貢献する状況が生まれるかもしれません。このことに挑戦する企業に、アシックスと吉本興業があります。アシックスには、スポーツ工学研究所があります。この研究所は、「スポーツで培った知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」というビジョンを具現化する部門になります。この研究所の知見を使って、アシックスは吉本と提携し、お笑い芸人がギャグを披露する際の動作を解析しました。具体的には、呼吸数、心拍数、運動負荷を測定し、その結果を解析したわけです。この結果、ギャグの動作が心身の状態が改善したことが明らかになりました。アシックスは、吉本芸人のギャグを盛り込んだ新しい体操を制作することになりました。もしこのような新しい発想のもとで開発された体操が普及すれば、ストレス耐性を高め、幸福感を高めるコンテンツが出来上がるかもしれません。さらに、この2つに、たんぱく質を多く含んだ食事を組み合わせれば、楽しい人生が約束されるかもしれません。
